東アジアの地政学リスク緊迫化:2026年3月、中東情勢と日本の安全保障への影響

中東情勢の緊迫化:東アジアへの即時的影響

2026年3月9日、中東情勢の緊迫化により、世界の石油消費量の約20%を処理するホルムズ海峡での商業船舶の航行が事実上停止しました。この事態を受け、WTI原油価格は1バレルあたり102ドルに、ブレント原油価格は1バレルあたり106ドルにそれぞれ急騰しました。アジア株式市場もこの影響を大きく受け、韓国のKOSPIは7.72%下落し、日経平均株価も6.45%下落するなど、世界市場に広範な圧力がかかっています。さらに、世界最大の液化天然ガス(LNG)輸出国であるカタールは、ラスラファンおよびメサイード施設の生産停止を宣言し、ガス契約に不可抗力を適用すると発表しました。これらの動向は、東アジア経済に対し直接的な打撃を与えています。

米中対立と経済安全保障の新たな局面

KPMGが2026年1月30日に発表したレポートによると、東アジア地域では「不安定な日中関係」が継続しており、中国は戦略物資供給において主導権を確保する動きを見せています。これに対し、米欧日企業は中国への経済依存度を分散させる動きを加速させており、友好国や自国内での調達体制の再整備を推進しています。また、KPMGが2026年3月に発表した「経済安全保障・地政学リスクサーベイ2026」の速報版では、大企業の57.4%が中国サプライチェーンの依存度引き下げを検討していることが明らかになりました。これは、サプライチェーンの強靭化に向けた動きが加速していることを示唆しています。

台湾情勢の潜在的リスク

台湾情勢では、中国が「蟒蛇(ニシキヘビ)戦略」を展開し、台湾への圧力を徐々に強めています。これに伴い、グレーゾーン事態が常態化し、圧力が極限まで高まっている現状が見られます。2026年2月21日の報道によると、台湾はこうした状況に対応するため「全社会防衛強靭性」の推進を強力に進め、防衛レジリエンスの強化を図っています。また、2025年12月30日の報道では、中国が「台湾包囲」軍事演習を再び実施し、実弾射撃や海上・陸上目標への模擬攻撃、主要港湾の封鎖などを実行できる能力を誇示しています。オーストラリアのメディアは、中国が2026年に開戦する意図はないとしつつも、戦争準備は整っていると分析しています。

日本の防衛政策の強化

国際環境の厳しさが増す中で、日本の安全保障政策は強化の必要に迫られています。2026年1月19日、高市総理大臣は、中国軍による台湾周辺での軍事演習や、サプライチェーン上流の物資を管理下に置くことで他国を屈服させようとする経済的圧力の動きがあることを指摘しました。これに対し、総理大臣は、サイバー、宇宙、電磁波などの新領域への着実な対応、防衛産業技術基盤のさらなる強化、そして自衛官の処遇改善を含む「抜本的な安全保障政策の強化」の必要性を強調しました。

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Reference / エビデンス