東アジア経済・資本市場の動向:中国全人代政策と地域の対照的展開

中国全人代、2026年経済成長目標を下方修正し「安定」重視へ

中国の第14期全国人民代表大会第4回会議が2026年3月5日に開幕し、2026年の実質GDP成長率目標を「4.5~5.0%」に設定しました。これは前年の「5%前後」からの引き下げであり、2023年以来の目標引き下げとなります。政府は「安定」重視の姿勢を示しています。

財政政策では、財政赤字をGDP比4%前後とし、財政支出総額は初めて30兆元を超える見込みです。また、新規政府債券発行額は過去最高の11兆8900億元を計画しています。金融政策は引き続き適度な緩和を維持する方針が示されており、中国人民銀行は2026年、実体経済の質の高い発展を支える金融サービスの質と効果を一層高め、内需拡大、科学技術革新、中小・零細企業など重点分野への金融支援を強化するとしています。

さらに、強大な国内市場の整備、ハイレベルの科学技術の自立自強を含む新たな原動力の育成・強化、重点分野の改革深化、ハイレベルの対外開放拡大など10項目の重点業務が掲げられました。技術革新と産業イノベーションの融合、先進製造業と現代サービス業の融合を一体的に推進することで、現代的産業体系の強化に取り組む方針も示され、工業情報化部からはAIと製造業の融合を強力に推進するとの表明がありました。

東アジア資本市場の動向:中国政策と地政学リスクの影響

2026年3月11日のアジア太平洋株式市場は総じて上昇しました。特に台湾加権指数は、米オラクルの好決算やフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の上昇が好感され、半導体関連株を中心に買いが広がり大幅続伸しました。中国上海総合指数も続伸しましたが、香港ハンセン指数は反落しました。

東京市場では、2026年3月9日に中東情勢の緊迫化と国際的な原油取引の指標となる先物価格の急上昇を受け、日経平均株価が前週末比2892円安の5万2728円と大幅に反落し、過去3番目の下落幅を記録しました。しかし、2026年3月11日には、米国市場引け後の米オラクルの好決算や原油相場の一時的な下落が追い風となり、日経平均は続伸し、終値は前日比776円高の5万5025円で3日ぶりに5万5000円台を回復しました。

権威主義体制下の経済統制と市場改革:ベトナムと北朝鮮の対照

東アジアにおける経済統制の状況は多様な側面を見せています。ベトナムは資本市場の開放と改革を推進しており、2025年に8%の成長率を達成した後、2026年のGDP成長目標を野心的な10%に設定しました。国際資本の流れがベトナム市場への関心を高め、格上げ条件が徐々に整うにつれて、資本市場は加速段階に入っています。ベトナムでは、テクノロジー企業がより早く資本にアクセスできるよう、成長企業専用の取引所の設立が検討されており、敏感でない産業における外国人所有制限の緩和も長期的な機関投資家を誘致するための重要な解決策として評価されています。また、2026年から始まる第12次5カ年計画では、地下鉄、新空港、鉄道、高速道路など前例のない規模の開発投資が計画されています。

一方、北朝鮮は2026年の国家予算を前年比5%以上増やす方針を示し、経済と国防の二兎を追う強気な姿勢を見せています。北朝鮮の2024年の実質国内総生産(GDP)は前年比3.7%増加し、2023年(3.1%増)に続き2年連続のプラス成長を記録しました。これは国家政策事業の推進強化とロシアとの経済協力拡大が影響したと分析されています。

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Reference / エビデンス