2026年3月最新:資産管理専門家が知るべき日本税制改正の動向

2026年度税制改正、国会審議で焦点:資産課税・相続税制の最新動向

2026年3月6日、衆議院財務金融委員会において、2026年度税制改正に関する質疑が行われました。これは、2025年12月に閣議決定された2026年度税制改正大綱の国会審議プロセスの一環です。審議では、特例公債法改正案に関連する歳出改革、租税特別措置・補助金の適正化に加え、物価高騰下での「年収の壁」対策といった広範な議題が議論されました。その中で、資産課税および相続税制の見直しも焦点の一つとして位置づけられています。

富裕層課税の強化と「ミニマム税」の適用拡大

2026年度税制改正においては、富裕層課税の強化が主要な柱の一つです。特に、超高所得者を対象とした「ミニマム税」の対象範囲と税率が見直されます。この改正の背景には、所得税の累進課税と金融所得の一律課税の税率差によって、超富裕層の実効税率が低くなる「1億円の壁」と呼ばれる現象の是正があります。

ミニマム税制度は2025年度から導入されており、年間合計所得が30億円以上の個人、または金融所得が主な収入源で年間所得10億円以上の個人が対象とされていました。今回の改正では、このミニマム税の基準所得金額が従来の3億3,000万円超から1億6,500万円超に引き下げられ、税率も22.5%から30%に引き上げられる方針が示されています。これらの変更は、2027年分以降の所得税から適用される予定です。

相続・贈与税制の主要変更点:教育資金贈与の終了と不動産評価の見直し

相続税・贈与税制においても重要な変更点があります。直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置は、2026年3月31日をもって終了し、延長されない方針です。この措置の終了は、利用件数の減少や高額所得者への利用集中による経済格差固定化への懸念が背景にあるとされています。

また、貸付用不動産および不動産小口化商品の相続税評価方法が見直されます。特に「5年ルール」が導入され、被相続人等が課税時期前5年以内に取得または新築した一定の貸付用不動産は、原則として課税時期における通常の取引価額に相当する金額で評価されることになります。これは、相続直前の不動産取得による過度な節税対策を抑制することを目的としています。この評価方法の変更は、2027年1月1日以降に開始する相続または贈与から適用される見込みです。

事業承継税制の特例措置、提出期限の延長へ

事業承継税制における特例措置に関しては、個人事業承継計画および特例承継計画の提出期限が延長される方針が示されています。個人の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度における個人事業承継計画の提出期限は、2028年9月30日まで延長されます。また、非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予(特例)における特例承継計画の提出期限も1年6ヶ月延長されることになりました。これらの延長措置は、後継者の選定や事業の磨き上げに時間を要する実務上の課題への配慮が背景にあります。

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Reference / エビデンス

  • 富裕層課税は強化される?2026年税制改正と資産家の相続対策 2026年(令和8年度)税制改正では、超高所得者向けの「ミニマム税」の対象範囲と税率が見直され、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は2026年3月31日で終了する方針が示されている。これらの変更は、物価高対応や負担の公平性、経済格差の固定化防止といった観点から行われる。
  • 金融所得課税の30%引き上げはある?ミニマムタックスや今後の見通しまで解説 日本では、金融所得課税の見直しの一環として、超富裕層に対する金融所得課税「ミニマムタックス制度」が2025年度から導入された。この制度は、年間合計所得が30億円以上の個人や、金融所得が主な収入源で年間所得が10億円以上の個人が対象となる。
  • 金融所得課税引き上げはいつから?制度変更の背景や中小企業への影響を解説 金融所得課税の引き上げは2025年1月1日以降の所得から適用されており、超富裕層に対するミニマムタックス制度が導入された。この制度は、基準所得金額(年間総所得金額から基礎控除額を差し引いた金額)が3億3,000万円を超えた場合、その超えた部分に対して22.5%の税率を乗じた金額が通常の所得税額を超えた場合に、その差額分を申告納税する仕組みである。
  • 相続税・贈与税が歴史的転換で富裕層包囲へ!今すぐ始めるべき節税対策とは?来年始まる「こどもNISA」の“ハイブリッド活用”が 2026年度税制改正では、超富裕層をターゲットにした「ミニマム課税強化」が2027年分より適用予定であり、相続税・贈与税制は歴史的な転換期を迎えている。これは「直前の小手先の対策は認めない。やるなら時間をかけて、計画的に行え」という国からのメッセージと解釈できる。
  • 速報 2026年度(令和8年度)税制改正解説 2026年度(令和8年度)税制改正大綱では、貸付用不動産の評価方法の見直し、不動産小口化商品の評価方法の見直し、および事業承継税制の特例承継計画等の提出期限の延長が盛り込まれている。
  • 【2026年度税制改正】資産課税編 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度は、利用件数の減少や高額所得者への利用集中による経済格差固定化の問題が指摘され、令和8年3月31日をもって廃止される。また、個人の事業用資産にかかる相続税・贈与税の納税猶予制度(個人版事業承継税制)では、「個人事業承継計画」の提出期限が令和10年9月30日まで延長される。
  • 相続税税制改正2026の要点|贈与税も税理士が解説 2026年度改正(資産課税)では、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の適用期限(令和8年3月31日)が延長されず終了する。一方で、事業承継税制(納税猶予)については、個人事業承継計画の提出期限が2年6ヶ月延長され、非上場株式等に係る特例承継計画の提出期限も1年6ヶ月延長される。
  • 令和8年(2026年)税制改正解説 2026年3月3日に公開された解説記事によると、2025年12月19日に発表された税制改正大綱では、貸付用不動産の相続税評価方法の見直しが最も注目される。課税時期前5年以内に取得または新築した一定の貸付用不動産について、原則として「課税時期における通常の取引価額」で評価する方針が示されており、これは相続直前の節税対策に歯止めをかける趣旨である。適用時期は令和9年1月1日開始の相続または贈与が想定されている。
  • 2026(令和8)年度日本稅制改革 2025年12月19日に日本政府執政党が2026年度(令和8年度)税制改革大綱を公布し、同年12月26日に閣議決定された。この大綱は、物価上昇や経済構造の変化に対応し、「経済を本とする財政」を基本方針として、大胆な「危機管理投資」と「成長投資」を通じて強靭な経済成長を実現するための税制改革案を提示している。
  • 令和8年度(2026年)の税制改正ポイントを解説 2026年度(令和8年度)税制改正では、極めて高い所得への負担適正化として、ミニマム税の基準所得金額が3億3,000万円超から1億6,500万円超に引き下げられ、税率が22.5%から30%に引き上げられる。
  • 【速報】令和8年度(2026年)税制改正大綱(相続税・贈与税) 令和8年度(2026年)税制改正大綱では、貸付用不動産および不動産小口化商品による節税対策を抑制するため、評価方法の変更が盛り込まれた。具体的には、被相続人等が相続開始前または贈与前5年以内に取得または新築した貸付用不動産は、通常の取引価額に相当する金額で評価されることになり、適用は令和9年1月1日以後の相続からとなる。また、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置も終了する。
  • 2026年度税制改正で相続税評価額がまた見直し、どうなる相続対策? 2026年度税制改正大綱では、貸付用不動産に「5年ルール」が導入され、相続時の5年前までに購入した不動産は取得時の価額の80%で評価されることになる。また、不動産小口化商品の評価方法も厳しく見直される。これらの改正は、不動産投資家にとって大きな影響を与える見込みである。
  • 【物価上昇を踏まえた税制へ】2026年3月6日財務金融員会質疑 衆議院議員 一谷勇一郎 2026年3月6日の衆議院財務金融委員会では、特例公債法改正案に関する質疑が行われ、歳出改革を含む行財政改革の徹底や租税特別措置・補助金の適正化が議論された。また、物価上昇の中で中所得者の手取り増加を図る観点から、所得税の控除見直しについても言及された。
  • 【2026年度(令和8年度)税制改正大綱】年収の壁引き上げ、NISA、暗号資産、住宅ローン控除など主な改正点を解説 2026年度(令和8年度)税制改正大綱では、富裕層課税強化として「1億円の壁」是正のためのミニマム税の最低税率が30%に引き上げられる方針が示されており、令和9年(2027年)分から適用される。これは、所得税の累進課税と金融所得の一律課税の税率差によって、超富裕層の実効税率が低くなる現象を是正するための措置である。