国際法人税制の最新動向:グローバルミニマム課税の進展と多国籍企業のコンプライアンス課題

グローバルミニマム課税「第2の柱」の進展と各国の対応

OECDが主導するグローバルミニマム課税(第2の柱)の進展に関して、国際的な動きが見られます。2026年1月8日には、米財務省のスコット・ベッセント長官が、1月5日にOECDが発表した国際課税ルールの第2の柱に関する「サイド・バイ・サイド」協定を歓迎する声明を発表しました。これにより、米国に本社を置く多国籍企業は、グローバルミニマム課税の所得合算ルール(IIR)および軽課税所得ルール(UTPR)の一部適用外となる見込みです。この制度は、本社設立国で一定基準を満たす企業に対し、グローバルミニマム課税の不適用を認めるものです。

日本国内の動向としては、2026年3月2日、KPMGが2026年3月期決算における税務上の留意事項を公表しました。その中で、国際課税分野において、OECDから公表されたガイダンスを踏まえた「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税」の見直し、および事務負担軽減の観点からの外国子会社合算税制(CFC税制)の見直しが行われたことが指摘されています。

多国籍企業のコンプライアンスと実務上の課題

新たな国際法人税ルール、特にグローバルミニマム課税の導入は、多国籍企業に実務上の影響を与えています。2026年3月6日、PwC Japanグループは、2024年4月から日本で導入されたグローバルミニマム課税(国際最低課税額に対する法人税)に関する実務対応ガイドを発行しました。このガイドは、申告実務に携わる企業担当者向けに、制度内容、対応ポイント、申告までのスケジュール、検討事項、情報収集の必要性などを整理し、実務上の複雑さから企業に早急な対応準備が求められることを指摘しています。

また、2026年3月9日にはEYが「令和8年3月期法人税申告の留意事項」を発表しました。この中で、令和7年度税制改正を中心に、リース税制、中小企業関連、試験研究費の範囲、外国子会社合算税制、イノベーションボックス税制、外形標準課税など、法人税申告に影響を与える主要な改正項目について留意が必要であると解説しており、企業が直面するコンプライアンスの複雑性と、それに対応するための戦略的準備の重要性が浮き彫りになっています。

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Reference / エビデンス

  • 世界の政治・経済日程(2026年4~6月)(世界) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース 2026年4月13~18日にIMF・世界銀行春季総会、4月16日にG20財務相・中央銀行総裁会議がワシントンDCで開催される予定である。
  • 20か国財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)等 - 財務省 G20財務大臣・中央銀行総裁会議は、国際金融システム上重要な国々が主要な国際経済問題について議論し、世界経済の安定的かつ持続可能な成長の達成に向けて協力することを目的としたフォーラムであり、毎年複数回開催されている。
  • 2026年3月期決算における税務上の留意事項 - KPMG International 2026年3月2日、KPMGは2026年3月期決算における税務上の留意事項として、国際課税分野ではOECDから公表されたガイダンスを踏まえた「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税」の見直し、および事務負担軽減の観点からの外国子会社合算税制の見直しが行われたことを指摘した。
  • 財務省関連 主要国際会議日程(令和8年3月~令和8年6月) 2026年3月10日現在、財務省は2026年3月11日~14日にパラグアイのアスンシオンで米州開発銀行年次総会が開催されることを含む主要国際会議日程を公表した。
  • 令和8年度 国際課税分野の改正見込み事項 【月刊「国際税務」3月号の読みどころ】 - 税務研究会 2026年3月11日、税務研究会は「月刊『国際税務』3月号の読みどころ」として、令和8年度において国際課税分野で改正が見込まれる事項を解説。これには、グローバルミニマム課税への対応や外国子会社合算税制の見直し(解散した部分対象外国関係会社等に係る特例の創設、ペーパー・カンパニー特例に係る資産割合要件に係る改正、最高税率を用いた租税負担割合計算特例の制限)が含まれる。
  • ベッセント米財務長官、在米企業のグローバル・ミニマム課税適用外を歓迎する声明発表(米国) 2026年1月8日、米財務省のスコット・ベッセント長官は、1月5日にOECDが発表した国際課税ルールの第2の柱に関する「サイド・バイ・サイド」協定により、米国に本社を置く多国籍企業がグローバル・ミニマム課税の所得合算ルール(IIR)および軽課税所得ルール(UTPR)の適用外となる合意を歓迎する声明を発表した。この制度は、本社設立国で一定基準を満たす企業に対し、グローバル・ミニマム課税の不適用を認めるものである。
  • グローバル・ミニマム課税に係る実務対応ガイド | PwC Japanグループ 2026年3月6日、PwC税理士法人は、2024年4月から日本で導入されたグローバル・ミニマム課税(国際最低課税額に対する法人税)について、申告実務に携わる企業担当者向けに、制度内容と対応ポイントなどを整理した実務対応ガイドを発行した。このガイドは、OECDモデルルールに沿った法制度が2023年度、2024年度、2025年度の税制改正で整備されたものの、実務上の複雑さがあるため、企業は早急な対応準備が必要であると指摘している。
  • 令和8年3月期法人税申告の留意事項 - EY 2026年3月9日、EYは「令和8年3月期法人税申告の留意事項」を発表し、令和7年度税制改正を中心に、リースに関する取扱い、中小企業関連、試験研究費の範囲、外国子会社合算税制、イノベーションボックス税制、外形標準課税など、法人税申告に影響を与える主要な改正項目について留意が必要であると解説した。
  • 英国歳入関税庁、移転価格および迂回利益税に関する年次統計を発表 | EY Japan 2026年3月11日、英国の税務当局であるHMRCは、2024-25課税年度の移転価格税制および迂回利益税に関する年次統計を発表した。
  • 【税務アップデート】新・法人所得税通達(20/2026/TT-BTC)施行のご ... - News detail 2026年3月12日より、ベトナムにおいて新しい法人所得税通達(第20/2026/TT-BTC号)が施行され、2025年の課税期間から遡及適用される。この通達は、控除対象支出の具体化(環境対策費、技術・DX投資など)、税制優遇と課税売上高の算定時期の指定、外国企業への法人所得税ルールの整備、拡張投資プロジェクトの登録資本額の通知義務など、主要な5つの変更点を含む。