東アジア地域経済の戦略的進展:ASEANの経済戦略とRCEP拡大の動き

ASEAN経済共同体:デジタル化とサプライチェーン強化への注力

ASEANは、2026年の経済戦略を2026年2月に策定しました。この戦略は、ASEANを2045年までに世界第4位の経済圏とすることを目標に掲げています。具体的には、貿易・投資のシームレスな域内統合深化、デジタル市場の発展(ASEANデジタル経済枠組み協定DEFAの締結)、中小零細企業(MSME)の能力強化、グリーン経済への移行加速、クリエイティブ経済の推進という5つの柱で構成されています。

広域経済圏構想の進展

東アジアにおける広域経済圏構想として、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)は、ASEAN10カ国、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの計15カ国が参加する世界最大規模の自由貿易協定です。2022年1月に発効し、域内での関税撤廃率は品目数ベースで約91%に達しています。特に日本からの工業製品輸出においては、中国向けで約86%、韓国向けで約92%の関税が段階的に撤廃される見込みです。

RCEPは発効から4年を経て加盟拡大プロセスを正式に開始しており、2026年2月の報告によると、香港、スリランカ、チリ、バングラデシュの4つの国と地域が新規加盟を申請しています。2025年9月には、第4回RCEP閣僚会合でアドホック加入作業部会(AWG)の付託事項が採択され、加盟申請の検討が進められています。また、ASEANは2025年9月にRCEP協定の新規加入手続きを策定し、物品・サービス貿易や投資に関する交渉手順を盛り込みました。この他にも、電気自動車(EV)産業の発展を目的とする「EVバッテリーパスポート」制度の手続きや、ASEAN統合半導体サプライチェーン枠組み(AFISS)の設立についても進展が見られます。

中国が提唱する「一帯一路」構想に関連して、2026年1月の報道では、2025年の中国の輸出入総額が過去最高の45.5兆元(約1024兆円)に達したことが明らかになりました。このうち、「一帯一路」参加国との輸出入額は前年比6.3%増加しています。

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Reference / エビデンス

  • ASEAN、2026年の経済戦略を策定、3月の経済大臣会合に提出(ASEAN、タイ) | ビジネス短信 2026年2月12日、ASEANは2026年の経済戦略を策定し、3月の経済大臣会合に提出する予定であると報じられた。この戦略は、ASEANを2045年までに世界第4位の経済圏とすることを目標に、貿易・投資のシームレスな域内統合深化、デジタル市場の発展(ASEANデジタル経済枠組み協定DEFAの締結)、中小零細企業(MSME)の能力強化、グリーン経済への移行加速、クリエイティブ経済の推進の5つの柱で構成されている。
  • 一帯一路とは?中国の狙い・参加国一覧・日本企業への影響をわかりやすく解説【2026年最新】 2026年3月23日の報告によると、中国が2013年に提唱した広域経済圏構想「一帯一路」は、現在約150カ国が参加し、総投資額は1兆ドルを超えるとされる。この構想は、アジアからヨーロッパ、アフリカまでを陸路と海路で結び、中国の余剰生産力の受け皿、新たな輸出・消費市場の開拓、エネルギー・資源の安定確保を目的としている。
  • RCEP(アールセップ)とは?加盟15ヵ国・関税撤廃・日本企業への影響をわかりやすく解説 2026年3月25日の解説によると、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)は、ASEAN10カ国、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの計15カ国が参加する世界最大規模の自由貿易協定である。2022年1月に発効し、域内での関税撤廃率は品目数ベースで約91%に達し、特に日本からの工業製品輸出において中国向けで約86%、韓国向けで約92%の関税が段階的に撤廃される。
  • 第32回ASEAN経済大臣会合(非公式会合) - Vietnam.vn 2026年3月13日、フィリピンのタギッグで第32回ASEAN経済大臣会合(AEMR 32)が開催された。会合では、フィリピンが提案した「共に未来を切り拓く」をテーマとする9つの優先経済目標(PED)が議論・採択され、ASEAN・カナダ自由貿易協定(ACAFTA)交渉の実質的終結やASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)の署名などが含まれた。閣僚らはまた、ASEAN経済共同体(AEC)マスタープラン2025の最終化進捗や、2045年までのAEC実施に向けたモニタリング・評価枠組みの開発状況を確認した。地政学的・経済的不確実性、米国の関税政策、中東情勢などの地域・世界経済見通しについても議論され、半導体、重要鉱物、エネルギー、デジタルインフラ、医療、食料システムといった戦略的分野を通じた経済安全保障の強化が強調された。
  • イラン戦争で中国が失うものとは何か?「一帯一路」にも影響 - Wedge ONLINE 2026年3月30日の分析によると、米・イスラエルによるイラン戦争は、中国の「一帯一路」構想に重大な影響を与える可能性がある。イランは中国にとって低価格の石油供給源であり、「一帯一路」の要所であるため、中東情勢の混乱は中国のエネルギー安全保障に直接的な打撃を与え、同構想のプロジェクトにも影響を及ぼす懸念がある。
  • RCEP加盟拡大が本格化:日本企業が押さえるべき戦略的チェックポイント 2026年2月8日の報告によると、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)は発効から4年を経て加盟拡大プロセスを正式に開始しており、香港、スリランカ、チリ、バングラデシュの4つの国と地域が新規加盟を申請している。2025年9月の第4回RCEP閣僚会合でアドホック加入作業部会(AWG)の付託事項が採択され、加盟申請の検討が進められている。
  • ASEAN、RCEP協定加入手続き策定、EV・半導体の枠組みも議論 - ジェトロ 2025年9月19日の報告によると、ASEANはRCEP協定の新規加入手続きを策定し、物品・サービス貿易や投資に関する交渉手順を盛り込んだ。また、電気自動車(EV)産業の発展を目的とする「EVバッテリーパスポート」制度の手続きや、ASEAN統合半導体サプライチェーン枠組み(AFISS)の設立についても進展があった。
  • 第10回日韓財務対話の開催について(令和8年3月14日) 2026年3月14日、東京で第10回日韓財務対話が開催され、日本の片山さつき財務大臣と韓国のク・ユンチョル副総理兼財政経済部長官が出席した。両大臣は、世界・地域経済、経済安全保障、多国間・二国間協力について意見交換し、地政学的緊張などのリスクに直面する世界経済の認識を共有した。特に中東情勢と金融市場の変動について議論し、エネルギー安定供給に向けた緊密な連携の重要性を再確認した。また、韓国ウォンと日本円の急速な下落に深刻な懸念を表明し、為替市場を注視し適切な対応を取ることを再確認した。グローバル・サプライチェーンの強化が経済安全保障上の優先事項であるとの認識を共有し、重要鉱物のサプライチェーン多様化を推進することで合意した。
  • 中国 2025年の輸出入額 過去最高 「一帯一路」各国との貿易増加(2026年1月14日) - YouTube 2026年1月14日の報道によると、中国の2025年の輸出入総額は過去最高の45.5兆元(約1024兆円)に達した。このうち、中国が提唱する「一帯一路」参加国との輸出入額は前年比6.3%増加した。
  • ASEAN+3 Regional Economic Outlook 2026: A More Regionally Anchored ASEAN+3 - YouTube 2026年4月6日に発表された「ASEAN+3 Regional Economic Outlook 2026」によると、過去20年間でASEAN+3地域の経済的結びつきは大きく変化し、生産ネットワークはより相互接続され、同地域は米国を上回る世界最大の最終需要市場となっている。この変化は、貿易の混乱に対する地域の耐性を強化する一方で、景気循環をより密接に連動させている。
  • 2026年3月24日の世界経済ニュースのハイライト - Vietnam.vn 2026年3月24日、ボアオ・アジアフォーラムは「2026年のアジア経済見通しと統合プロセスに関する年次報告書」を発表し、2026年のアジア経済成長率が4.5%に達すると予測した。報告書は、中国とASEANがアジアにおける外国投資にとって最も魅力的な経済圏であり、世界経済成長の主要な原動力であり続けると指摘した。
  • ボアオ・アジア・フォーラム(BOAO)2026開催 | Science Portal China 2026年3月24日から27日にかけて中国海南省・博鰲で開催されたボアオ・アジア・フォーラム2026では、アジア経済のGDPが世界経済に占める割合が2026年には49.7%へ上昇する見込みであり、アジアが引き続き世界経済成長の主要な原動力であると指摘された。特に中国とASEANは地域経済を安定させる役割を強め、中国は多様な市場やグローバル・バリューチェーンを結びつける重要な役割を果たしているとされた。