エネルギー市場の焦点:OPEC+の戦略、中東紛争、そしてグローバルサウスの資源ナショナリズム

OPEC+、市場安定化へ生産調整を決定

2026年3月1日、OPEC+の主要8カ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、2023年4月に発表された自主的な追加減産(日量165万バレル)の段階的な巻き戻しを開始することで合意しました。この決定に基づき、2026年4月には日量20.6万バレルの生産調整が実施される予定です。この動きは、堅調な世界経済見通しと比較的低い原油在庫を背景になされており、OPEC+は市場の安定化へのコミットメントと、市場状況に応じた柔軟な対応の姿勢を再確認しています。

中東紛争激化と原油市場への影響

2026年2月28日の米国とイスラエルによるイランへの共同空爆以降、中東情勢は緊迫化し、世界の石油市場に供給の混乱が生じています。ホルムズ海峡を通る原油および石油製品の流れが激減し、湾岸諸国は合計で少なくとも日量1000万バレルの石油生産を削減しました。この事態は、世界のコモディティ市場に不確実性をもたらし、2026年2月末から3月初めにかけてエネルギー価格が大幅に上昇しました。

グローバルサウスにおける重要鉱物資源ナショナリズムの台頭

グローバルサウス諸国では、リチウム、コバルト、銅などの重要鉱物において、原材料の輸出から国内での付加価値向上へと政策を転換する資源ナショナリズムの動きが加速しています。アフリカ諸国における具体例として、ガーナは2030年からの未加工鉱物輸出禁止を発表し、マリの軍事政権は新規鉱山プロジェクトで国家が最大35%の所有権を持つ新鉱業法を制定しました。ジンバブエは2026年2月下旬にリチウムの輸出を禁止しており、これは重要鉱物資源を自国の戦略的利益に活用する意図を示唆しています。この動きは、世界的なエネルギー転換、地政学的競争、および途上国の工業化目標によって推進されています。2026年3月5日のミュンヘン安全保障会議では、マルコ・ルビオ米国務長官が西側諸国の再工業化と重要鉱物確保を主張する演説を行い、グローバルサウスを原材料供給国と位置付ける可能性が指摘されています。

エネルギー転換期におけるグローバルサウスの課題と戦略

ラテンアメリカ・カリブ海地域(LAC)を例にとると、電力システムの約70%が再生可能エネルギー由来であるにもかかわらず、輸送部門や産業部門での石油依存度が高く、国際的な原油市場の変動に脆弱な状況にあります。この地域は、エネルギー安全保障を強化するため、電化の推進、持続可能なバイオ燃料や低排出水素の開発、および地域的なエネルギー統合を進める戦略的な動きを見せています。エネルギー転換は気候変動対策のみならず、経済的および地政学的な要請でもあると認識されています。

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Reference / エビデンス