東アジアの海洋資源権益を巡る最新動向:安全保障強化とエネルギー戦略

南シナ海における日米比合同演習と地域安全保障の強化

2026年2月23日から26日にかけて、南シナ海の台湾近海において、フィリピン軍が日本およびアメリカとの初の合同演習を実施しました。この演習は中国軍による追跡も確認されています。

フィリピンは、国際法上の根拠がない中国の海洋進出を阻止するために、多国間演習による牽制が最善策であると表明しています。南シナ海では、中国が特にフィリピンに対して威圧的な行動を常態化させており、フィリピンは米国との同盟関係や日本などとの安全保障ネットワークを背景に対抗姿勢を示しています。2016年の仲裁裁判では中国の「九段線」主張に法的根拠がないと判断されましたが、中国はこれを認めず、力による現状変更を続けています。

日本のレアアース国産化戦略

日本最東端の南鳥島沖に眠るレアアースの採掘が、2026年に入り本格化しています。これは日本が「資源貧国」からの脱却を目指す重要な動きです。

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、2026年1月中旬に探査船「ちきゅう」を南鳥島沖に向けて出航させ、レアアース泥の商業採掘に向けた取り組みを開始しました。また、1月11日から2月14日にかけて、水深約6,000メートルの深海底から希土類元素を豊富に含む泥を連続的に船上に引き上げる、世界初の試掘掘削を行いました。

長引く米中対立と中国のレアアース輸出規制強化を受け、日本政府は中国依存からの脱却と産業に不可欠な鉱物の安定供給確保を目的としています。国は回収から精製までの国内完結プロセス確立を進め、2030年ごろの商業採掘を目指しています。

東シナ海ガス田開発を巡る日中間の対立継続

東シナ海では、日中中間線付近の中国側海域で中国による一方的なガス田開発が続いており、日本政府は懸念を表明しています。

2026年1月8日、木原官房長官は、中国が移動式の掘削船を活動させ、新たなガス田開発を進めていることを確認し、外務省を通じて強く抗議したと発表しました。日本政府は、こうした一方的な開発行為は極めて遺憾であり、地下で日本の資源が奪われている可能性があると指摘しています。外務省は1月16日までに、中国が日中中間線の西側で計22基の構造物を確認していることを発表し、一方的な開発行為の中止と2008年の共同開発合意の交渉再開を求めています。

東シナ海ガス田問題は、中国側のガス田が日中中間線の日本側海域に掛かっているために生じています。2008年の日中共同開発合意は、2010年の尖閣諸島沖での事件以降、交渉が中断したままです。

中東情勢が東アジアのエネルギー安全保障に与える影響

2026年3月8日、米国とイスラエルがイランの石油施設を攻撃したと報じられ、中東情勢の緊迫化が東アジア各国のエネルギー安全保障への懸念を高めています。3月に入り、イラン情勢の緊迫化を受けて、米国防総省は沖縄に駐留する部隊を中東へ派遣しており、地域の安全保障環境にも影響を与えています。ホルムズ海峡の事実上の閉鎖に伴い、中東への依存度が高いアジア各国では原油不足が深刻化し、原油価格も高騰しています。

各国はエネルギー安全保障対策を強化しています。韓国政府は3月5日に資源安全保障危機警報の「関心」段階を発令しました。中国は世界有数の産油国であるものの、国内需要の約7割を海外からの輸入に頼り、そのうち約4割を中東から調達しているため、原油価格の急騰はエネルギー供給リスクとインフレリスクを高めています。これに対し、中国は国内石油増産と「石炭からガスへ」のエネルギー転換政策を推進しています。

一方、日本は2025年12月末時点で国内消費の254日分に相当する石油を備蓄しており、国際エネルギー機関(IEA)加盟国の平均を大幅に上回る水準を維持しています。

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Reference / エビデンス