2026年中国全人代経済政策の方向性:「新質生産力」と市場への影響

中国全人代が示す2026年経済政策と「新質生産力」への注力

2026年3月5日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)において、政府は2026年の実質GDP成長率目標を「4.5~5.0%」に設定しました。経済運営の方針として、積極的な財政政策を継続し、財政赤字対GDP比は4%前後とされました。また、やや緩和的な金融政策も継続する方針が示されています。

今回の全人代では、強大な国内市場の整備、新たな原動力の育成、科学技術の自立自強、ハイレベルの対外開放など10項目の重点業務が掲げられました。特に「質の高い発展」を重視し、「新質生産力」の育成に注力する政策意図が鮮明になっています。これには、技術革新と産業イノベーションの融合を推進し、現代的産業体系の強化を図ることが含まれます。

具体的には、人工知能(AI)と製造業の融合を強力に推進する方針が示され、ブレイン・マシン・インターフェース、自動運転、人型ロボットといった次世代技術の開発加速が挙げられました。内需拡大も重要な課題とされ、内需喚起が推進されます。また、中期経済目標である第15次5カ年計画(2026~30年)では、「高質量生産」「内需拡大」「共同富裕」「発展と安全の統合」が重要課題とされており、これらの方向性が今回の全人代でも示されました。なお、2025年の成長率は5.0%でしたが、後半に成長の伸びが鈍化しており、2026年も難しい経済運営が想定されています。

中国人民銀行の金融政策と資本市場への影響

中国の金融政策は、全人代で示された「やや緩和的な金融政策を継続する」という方針のもと、経済の安定化が図られています。このような背景において、資本市場は変動を見せています。

2026年3月3日の中国本土株式市場では、上海総合指数が3日ぶりに反落し、終値は前日比1.43%安の4122.68ポイントとなりました。これは前日の終値が2015年6月30日以来およそ10年8カ月ぶりの高値であったため、利益確定売りが優勢となったためと考えられます。また、米・イスラエルとイラン間の戦闘継続といった地政学リスクも投資家のリスク回避姿勢を強める要因となりました。

アナリストの見方として、野村東方国際証券のA株ストラテジーアナリストは、2026年1月に始まった第15次五ヶ年計画での投資拡大やAI市場の成長などを背景に「中国株式は緩やかな上昇基調をたどる」と予測しています。しかし、健全な不動産市場への回帰を促す政策支援の強化が必要であることや、現状では即効性のある従来型の政策手段が概ね出尽くしている点が、政策当局の大きな課題として指摘されています。

香港市場に関しても、香港特別行政区政府の陳茂波(ポール・チャン)財政長官は2026年2月20日、2026年の株式市況について「慎重ながらも楽観視している」との見解を示しました。同長官は、国際環境の複雑さや技術革新の加速を指摘しつつ、香港が「一国二制度」の下で内外を結ぶ「スーパーコネクター」としての役割を強化する方針を示しています。

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Reference / エビデンス