日本財政の岐路:2026年度予算と税制改革、経済指標が示す持続可能性への課題

2026年度予算の成立と財政再建への複合的アプローチ

2026年3月7日午後、参議院本会議において、過去最大となる122兆円超の2026年度予算が、自民党と日本維新の会などの賛成多数により可決・成立しました。高市政権は当初、年度内成立を目指しましたが、断念して11年ぶりに暫定予算を編成して対応した経緯があります。この予算成立と並行して、現在進められている2026年度税制改正の議論は、財政再建と経済成長の双方を目指す政府の複合的なアプローチを示すものとして注目されています。

過去最大の予算規模と増大する財政負担の内訳

2026年度予算案は一般会計総額が122兆3092億円に上り、2年連続で過去最大を更新しました。歳出の内訳を見ると、社会保障関係費は過去最大の39兆559億円を計上し、前年度からさらに拡大する見通しです。防衛費も9兆353億円と過去最大を更新しました。さらに、国債の利払いや償還に充てる国債費は、金利上昇の影響を受け、前年度比3兆579億円増の31兆2758億円となり、初めて30兆円を突破しました。新規国債発行額は29兆5840億円で、2年連続で30兆円を下回ったものの、公債依存度は24.2%となっています。

日本の財政状況は主要先進国の中でも突出して厳しく、2025年12月末時点でのいわゆる“国の借金”である国債など政府債務残高は約1342兆円と過去最大に膨らんでいます。政府債務残高の対GDP比は、2025年10-12月期時点で約235%に達しています。

税制改正の動向:減税と増税のバランス

2026年度税制改正大綱では、減税措置と増税措置が混在する内容が示されました。所得税の基礎控除や給与所得控除の最低保障額が、年収178万円まで引き上げられる見通しです。この所得税がかかり始める目安の引き上げにより、年収665万円以下の中所得層には約6500億円の減税効果が見込まれています。

一方で、防衛費増額の財源として、加熱式たばこ税の段階的な引き上げや、所得税額の1%に相当する税を設ける「防衛特別所得税」(仮称)の導入が検討されています。これらの増減税措置は、政府が掲げる「責任ある積極財政」と財政健全化目標の間でバランスを取ろうとする姿勢を示していると言えるでしょう。

経済指標と財政の持続可能性への課題

2026年3月時点の経済状況を見ると、帝国データバンクの景気動向調査では、中東情勢による原油価格高騰懸念から、全国10地域すべてで景況感が悪化しました。これは2023年9月以来2年6カ月ぶりのことです。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの景気予報では、物価高による家計の節約志向と地政学リスクを指摘しつつも、雇用・所得環境の改善やAI関連需要に支えられ、緩やかな景気の持ち直しを見込んでいます。しかし、中東情勢の緊迫化などにより、2026年度の実質GDP成長率が大幅に下振れする恐れも指摘されています。

財政の持続可能性には課題も山積しています。長期金利の急上昇は有利子奨学金の利率にも影響を与えており、2026年3月現在、利率見直し方式の奨学金で、卒業当初の0.004%から1.3%へと325倍に急上昇した事例も報告されています。これは、高市政権の国債大量発行による財政への信認低下に起因するとの指摘もあります。国際通貨基金(IMF)専務理事も2025年10月には日本の財政再建の必要性を指摘しており、財政再建と経済成長のバランスをいかに取るかは、政策アナリストにとって引き続き重要な考察テーマとなるでしょう。

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Reference / エビデンス