2026年3月 グローバルサウスの資源政策と投資環境:中東情勢と重要鉱物サプライチェーン再編

中東情勢の緊迫化がグローバルサウスの投資環境に与える影響

2026年2月28日の米国によるイラン攻撃以降、中東情勢の緊迫化が原油価格の急騰を招き、世界経済に広範な影響を及ぼしています。特に2026年3月の新興国株式市場は、米国・イスラエルとイランの軍事衝突激化による原油価格急騰と世界的なインフレ・景気減速懸念を受け、月間で下落しました。米国の利下げ観測後退と米ドル高も、新興国株式市場にとってマイナス要因となっています。

この地政学的リスクの高まりは、グローバルサウスの投資環境にも影響を与えています。主要新興国の中で、原油純輸出国であるブラジルは対外的なバッファーが厚く、原油価格上昇に対する相対的な耐性が高いと分析されています。一方、エネルギー輸入依存度の高い南アフリカ、インドネシア、ベトナム、インドといった国々は、より大きな経済的打撃を受ける可能性が指摘されています。

経済協力開発機構(OECD)が2026年3月に公表した最新の見通しでは、イラン情勢の悪化により主要国のインフレ予測が大幅に引き上げられ、G20では4%と前回12月時点から1.2%高い水準となりました。世界経済の成長率見通しは据え置きとされたものの、エネルギー価格の急騰や紛争の不確実性により、今後の変動リスクが高まっている状況です。

アフリカにおける重要鉱物資源開発と日本の戦略的関与

重要鉱物資源を巡る国際的なサプライチェーン再編の動きが活発化しており、アフリカはその主要な舞台の一つとなっています。日本は、レアアースを含む重要鉱物の安定供給確保のため、鉱山開発・製錬事業への出資や助成金支援、国家備蓄での対応を進めています。

具体的には、2026年3月2日には、中国メディアが日本政府によるナミビアでの鉱山開発計画の表明を報じました。これは、中国によるレアアース輸出規制への対策として、2028年までに一部のレアアースの対中依存度をゼロにすることを目指す日本の戦略の一環とされています。

また、サウジアラビアやUAEなどの湾岸諸国も、脱石油戦略の一環としてアフリカの鉱物資源への投資を積極的に拡大しています。サウジアラビアはアフリカ11カ国と鉱業分野のMOU締結交渉を進め、UAEも「鉱物資源戦略」を発表し、アフリカの重要鉱物への投資を強化しており、アフリカが重要鉱物資源を巡る国際競争の舞台となっている現状を浮き彫りにしています。

グローバルサウスにおける資源政策の多様化と投資リスク

グローバルサウス諸国における資源政策は多様な動きを見せており、これが投資環境に影響を与えています。2026年1月15日、ペルー政府は鉱業合法化の期限を2026年末、または小規模・零細鉱業(MAPE)法成立まで延長する法律32537を公布しました。これにより、エネルギー鉱山省(MINEM)が合法化プロセスの簡素化や技術的支援を実施し、非合法鉱業の規制と合法化を推進する方針です。

一方で、資源の国家統制を強化する動きも見られます。メキシコ政府は2023年4月17日に、鉱物資源や水資源の国家統轄権を取り戻し、鉱業コンセッション期間の短縮(50年から15年)、取り消し事由の拡大などを目的とした鉱業法などの改正案を国会に送付しました。この動きに対し、メキシコ鉱業会議所からは年間40億ドル規模の投資損失と雇用喪失の懸念が表明されるなど、政策変更が投資家にもたらす法的・経済的不確実性が示されています。

また、グローバルサウス諸国は資源を巡り多様な国際連携を模索しています。2026年2月4日には、アルゼンチンと米国が戦略的に重要な鉱物資源に関する「基本枠組み協定」に署名しました。この合意は、両国の供給網強化と安全性向上、長期的な投資誘致、および多様で強靭な供給網の統合を目的としており、資源大国が投資誘致と供給網強靭化を図る一例となっています。

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Reference / エビデンス