東アジアにおける経済統制と資本市場の動向:中国とベトナムの対照的な戦略を分析

中国:全人代で示された「発展と安全」重視の経済統制強化

中国では2026年3月5日に第14期全国人民代表大会(全人代)第4回会議が開幕し、政府活動報告を通じて主要な経済・外交政策の方向性が示されました。2026年の経済成長率目標は4.5%から5.0%に設定され、これは4年ぶり、数十年ぶりの低水準となります。また、2026年から始まる第15次5ヵ年計画(2026-2030年)では、「高質量発展」「内需拡大」「共同富裕」「発展と安全の統合」が重点戦略として掲げられました。この計画では成長率目標に具体的な数値を設けず「合理的な範囲」とするとともに、2035年までの1人当たりGDPを2020年比で倍増する目標が設定されています。

全人代では、マクロ経済のコントロール強化、国内市場の整備、技術革新と産業イノベーションの融合推進、消費財買い替え支援などの具体的な政策方向性が説明されました。さらに、銀行システム強化のため2026年中に3000億元(約440億ドル)相当の特別国債を発行する計画も明らかにされています。2026年予算案では、国防予算の伸び率が7.0%と計上されており、これは5年連続で7%台の増加となる見込みです。これらの動きは、中国が国家主導の経済統制を強化し、「発展と安全」を統合する姿勢を鮮明にしていることを示しています。

ベトナム:資本市場改革と国際化への明確な道筋

中国とは対照的に、ベトナムは資本市場の開放と国際化に向けた具体的な改革を進めています。2026年2月3日、ベトナム国家証券委員会(SSC)は国際金融公社(IFC)およびスイス連邦経済庁(SECO)と共同で、「ベトナム企業統治原則2026(VNCG Code 2026)」を公表しました。これは国際的なベストプラクティスに沿って策定され、上場企業の質向上と投資家の信頼強化を目的としています。

さらに、2026年3月1日には改正投資法が施行され、行政手続きの簡素化や条件付き事業分野の削減が盛り込まれるなど、投資環境の改善が図られています。ベトナム株式市場は、FTSEラッセルによる市場分類で「フロンティア市場」から「新興国(セカンダリー・エマージング)市場」への格上げを目指しており、詳細な格上げスケジュールは2026年3月の中間レビュー時に公表される計画です。この格上げは、パッシブ運用資金やアクティブ運用資金の流入を促し、ベトナム証券市場とグローバル資金との結びつきを強化すると期待されており、2026年のベトナム市場は大きな転換点を迎えることが予測されています。

東アジアにおける経済統制と資本市場の多様な経路と展望

東アジア地域では、中国の国家主導・安全保障重視の経済運営と、ベトナムの市場開放・国際化推進という異なる経済統制および資本市場戦略が見られます。中国の戦略は、国内の不動産不況や内需低迷といった課題への対応と、国際的なサプライチェーンや投資フローへの影響を通じて、地域経済に多大な影響を与えています。一方、ベトナムの動きは、外国直接投資(FDI)を誘致し、地域内の競争力と安定に貢献する可能性を秘めています。

加えて、北朝鮮も2026年の国家予算を前年比5%以上増やす方針を示しており、経済低迷からの脱却と国防強化を同時に目指す強気な姿勢を見せています。これは、東アジアにおける権威主義体制下の経済運営が多様な経路を辿っていることを示唆しています。国際的には、2026年3月5日頃、中東情勢の緊迫化への懸念が世界の株式市場に一時的な影響を与えました。日経平均株価は一時的に上昇したものの、国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は同日、中東での新たな戦争が世界経済の回復力を再び試すと警告し、長期化する紛争がエネルギー価格、市場心理、経済成長、インフレに悪影響を及ぼす可能性を強調しました。このような外部環境の変動がある中でも、東アジア域内における各国政策主導型トレンドの重要性は、地域情勢アナリストにとって引き続き注視すべきポイントです。

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Reference / エビデンス