北米エネルギー政策と環境規制の最新動向:2026年3月上旬の分析
米国、地政学的緊張下でのエネルギー輸出政策維持を再確認
中東での紛争激化と原油価格の高騰を受け、2026年3月にはブレント原油価格が1バレルあたり110ドルに達し、米国内のガソリン価格も1ガロンあたり4ドルに迫る状況となりました。このような価格圧力にもかかわらず、米国は石油輸出禁止政策を維持しています。戦略石油備蓄の放出は、輸出制限ではなく在庫管理を優先する姿勢を示しており、輸出制限が世界のベンチマーク価格を上昇させ、国内燃料費に直接影響を与えること、また同盟国のエネルギー安全保障への配慮が政策決定に影響を与えているとされています。
2026年2月24日付けの大統領府発表によると、トランプ大統領は「米国のエネルギーを解き放つ」公約を実行し、長年の煩雑な規制、雇用を損なう義務付け、および対外依存的政策に終止符を打ったとされています。これにより、米国は世界を主導するエネルギー生産国・輸出国としての地位を回復し、経済成長の促進、家計負担の軽減、国家安全保障の強化に寄与していると強調されています。特に、2025年には1億トンを超える液化天然ガス(LNG)を輸出し、史上初の国となりました。
米国環境規制の大幅な転換:EPAによる温室効果ガス規制の撤廃
2026年2月18日、米国環境保護庁(EPA)は、2009年に制定された新規自動車および新規自動車エンジンからの温室効果ガス(GHG)排出に関する「危険認定(Endangerment Finding)」を撤回する最終規則を決定しました。この決定は、EPAが地球温暖化懸念に基づくGHG排出基準を定める権限をクリーンエア法(CAA)第202条(a)に基づき欠いているとの結論に基づいています。これにより、この危険認定に依拠して制定された軽・中・大型の公道走行車両およびエンジンからのGHG排出基準を含む関連規制は正式に廃止されます。この撤回に対しては訴訟が提起される可能性があり、電力部門、石油・ガス、航空、運輸、燃料、埋立地など、他の連邦GHG規制にも広範な影響が及ぶと予想されています。
また、2026年1月12日には、新規ガス火力発電所および産業施設で使用されるガス燃焼タービンからの有害な窒素酸化物(NOx)汚染の排出制限を改定する最終規則がトランプ政権下のEPAによって発表されました。この最終規則は、以前の政権で提案された規則よりも実質的に保護的ではなく、一部のガス火力発電所に関しては2006年以来実施されてきた保護よりも弱い内容となっています。さらに、2026年2月には2009年のGHG危険認定の撤廃が最終決定されており、定置発生源に対するGHG排出規制は、他の規則が修正または撤廃されるまで有効とされています。2025年には、EPAがNSPSサブパートOOOObおよびEG OOOOcに基づくいくつかの遵守期限を2026年または2027年に延長する暫定規則を最終決定しています。
カナダのエネルギー輸出戦略と国内環境政策の動向
カナダのエネルギー政策においては、2026年3月4日に中国との市場アクセス再開が発表され、経済関係の刷新に向けた重要な一歩を踏み出しました。この合意には、キャノーラミール、エンドウ豆、ロブスター、カニに対する反差別関税の一時停止、およびキャノーラ種子に対する関税の大幅な引き下げが含まれています。これらの進展は、2030年までに中国への輸出を50%増加させるという目標を掲げたカナダの貿易多様化アジェンダを支援するものであり、特にエネルギー、クリーンテクノロジー、気候競争力といった分野での協力拡大に焦点が当てられています。
一方、2026年のカナダのエネルギー規制環境では、主権とエネルギー安全保障が最優先事項とされています。アルバータ州は、2026年4月1日までに連邦政府と産業炭素価格の最終設計について交渉を進める予定であり、この炭素価格はクリーン電力規制(CER)に代わって電力部門に適用される見込みです。
[ Advertisement ]Reference / エビデンス
- U.S. No Ban on Oil Exports: Current Policy Framework - Discovery Alert 2026年3月、ブレント原油価格が1バレルあたり110ドルに達し、米国のガソリン価格が1ガロンあたり4ドルに近づくなど、価格圧力が政策介入への政治的要求を生み出しているにもかかわらず、米国は石油輸出禁止政策を維持している。戦略石油備蓄の放出は、輸出制限ではなく在庫管理を優先する姿勢を示している。輸出制限は世界のベンチマーク価格を上昇させ、国内燃料費に直接影響を与えるため、同盟国のエネルギー安全保障も政策決定に影響を与える。
- White House says it's not planning oil or gas export restrictions - Axios 2026年3月19日、トランプ政権はエネルギー価格高騰を抑えるための手段として、米国の石油輸出を妨げる計画はないと発表した。輸出制限の噂がここ数日飛び交っていたが、これは米国を世界の主要な市場プレーヤーにした長年の輸出拡大後の大きな変化となるはずだった。
- White House Takes Crude Oil Export Ban Off the Table (1) - Bloomberg Law News 2026年3月19日、トランプ政権の当局者は、JD・ヴァンス副大統領と石油業界幹部との会合後、石油・ガス輸出禁止を計画していないと述べた。当局者は「石油・ガス輸出制限は検討されていない」と発言した。この会合は、ドナルド・トランプ大統領が米国とイランの戦争による燃料価格高騰に対処するよう強い政治的圧力に直面している中で開催された。
- 米政府、エネルギー規制緩和と資源開発拡大でエネルギー生産・輸出の優位回復を強調 - CRDS 2026年2月24日付の大統領府発表によると、トランプ大統領は「米国のエネルギーを解き放つ」公約を実行し、長年の煩雑な規制、雇用を損なう義務付け、対外依存的政策に終止符を打った。これにより、米国は世界を主導するエネルギー生産国・輸出国としての地位を回復し、経済成長の促進、家計負担の軽減、国家安全保障の強化を実現している。特に、2025年には1億トン超の液化天然ガス(LNG)を輸出し、史上初の国となった。
- GOVERNMENT POLICY AND INDUSTRY UPDATES SECTOR NEWS UPDATES ADVOCACY CORNER - CEMA 2026年3月14日、カナダのマーク・カーニー首相は、カナダのような純輸出国は石油備蓄を必要とせず、国際エネルギー市場の安定化のために2360万バレルの石油を供給すると発表した。これは、イランでの戦争が石油供給網を不安定化させていることに対応するもので、カナダの石油生産増加が必要となる。
- Canada secures renewed market access with China to boost exports and strengthen economic collaboration 2026年3月4日、カナダは中国との経済関係を刷新する重要な一歩として、市場アクセスを再開したと発表した。これには、キャノーラミール、エンドウ豆、ロブスター、カニに対する反差別関税の一時停止、およびキャノーラ種子に対する関税の大幅な引き下げが含まれる。これらの進展は、2030年までに中国への輸出を50%増加させるという目標と、カナダの貿易多様化アジェンダを支援するものである。エネルギー、クリーンテクノロジー、気候競争力といった分野での協力拡大に焦点が当てられている。
- U.S. Environmental Protection Agency Issues Final Rule to Rescind Endangerment Finding Underpinning Federal Regulation of Greenhouse Gas Emissions - Kirkland & Ellis LLP 2026年2月18日、米国環境保護庁(EPA)は、新規自動車および新規自動車エンジンからの温室効果ガス(GHG)排出規制の根拠となっていた2009年の「危険認定(Endangerment Finding)」を撤回する最終規則を公表した(3月9日発表)。この規則は、EPAがクリーンエア法(CAA)第202条(a)に基づき、地球温暖化懸念に基づくGHG排出基準を定める権限を欠くと結論付けている。この決定は、軽・中・大型の公道走行車両およびエンジンからのGHG排出基準を含む、危険認定に依拠して制定されたGHG規制を正式に廃止するものである。この撤回に異議を唱える訴訟が提起される可能性があり、電力部門、石油・ガス、航空、運輸、燃料、埋立地など、他の連邦GHG規制にも広範な影響が及ぶと予想される。
- Federal Methane Rules in 2026: What Oil and Gas Operators Need to Do Now 2026年2月、EPAは2009年のGHG危険認定の撤廃を最終決定した。GHG排出規制は定置発生源に対しては、他の規則が修正または撤廃されるまで有効である。2025年には、米国環境保護庁(EPA)がNSPSサブパートOOOObおよびEG OOOOcに基づくいくつかの遵守期限を延長する暫定規則を最終決定した。これらの要件の遵守期限は2026年または2027年に延長されている。
- Trump EPA Finalizes Weak Rule to Reduce Dangerous Air Pollution from New Gas-Burning Power Plants, Ignores Health Benefits and Lives Saved from Pollution Reduction - Environmental Defense Fund 2026年1月12日、トランプEPAは、新規ガス火力発電所および産業施設で使用されるガス燃焼タービンからの有害な窒素酸化物(NOx)汚染の排出制限を改定する最終規則を発表した。この最終規則は、バイデン政権下で提案された規則よりも実質的に保護的ではなく、一部のガス火力発電所については2006年以来実施されてきた保護よりも弱い内容となっている。
- US energy secretary says Trump administration has no plan to restrict oil and gas exports 2026年3月19日、米国エネルギー長官クリス・ライトはXへの投稿で、ドナルド・トランプ大統領の政権は石油・ガス輸出制限を実施する計画はないと述べた。彼は、米国が世界のトップ石油・天然ガス生産国であり、最大の天然ガス輸出国、そしてトップの石油輸出国であることを強調した。
- Energy regulator predicts Canada won't meet Trudeau era 2050 net-zero targets - YouTube 2026年3月17日、カナダのエネルギー規制機関からの新しい報告書は、現在の環境政策の下ではカナダの排出量が2035年頃に減少を停止し、2050年のネットゼロ排出目標達成が困難であると予測している。2050年の最良のシナリオでも、カナダは年間500メガトンの排出量を排出するとされている。
- Energy regulatory trends to watch in 2026: The role of energy in Canada's economic security - Dentons 2026年、カナダのエネルギー規制環境では主権とエネルギー安全保障が最優先事項となっている。アルバータ州は、2026年4月1日までに連邦政府と産業炭素価格の最終設計について交渉する予定であり、この炭素価格はクリーン電力規制(CER)に代わって電力部門に適用される。
- US Oil Gas Export Policy Remains Open Despite Crisis - Discovery Alert 2026年3月20日、米国は、中東での紛争による原油供給の潜在的な混乱と国内エネルギー価格の大幅な上昇にもかかわらず、石油・ガス輸出の無制限政策を維持している。このアプローチは、輸出制限が長期的な国益に反すると見なし、エネルギーの豊富さを外交ツールとして活用し、国内生産への継続的な投資を奨励している。カタールのラスラファンLNG複合施設がミサイル攻撃で大きな被害を受けたことも、この戦略的価値を浮き彫りにしている。
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