2026年3月6日時点:日本の資産課税・相続税制改正の動向と資産戦略への影響

2026年度税制改正の全体像と資産課税・相続税制の主要変更点

2025年12月に公表された「令和8年度税制改正大綱」は、その後の政治プロセスを経て、現在国会で審議が進められています。関連法案は2026年2月20日に閣議決定され、同日国会に提出されました。この税制改正は、物価高への対応、強い経済の実現、税負担の公平性確保といった観点から策定されたものです。

特に資産課税および相続税制においては、富裕層に対する課税強化、資産評価方法の見直し、特定の非課税措置の終了、そして事業承継支援のための措置の延長が主要な変更点として挙げられます。これらの改正項目は、資産管理専門家が今後の資産戦略を検討する上で重要な考慮事項となります。

富裕層課税強化:ミニマムタックスの適用拡大と税率引き上げ

令和8年度税制改正大綱では、「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置(ミニマムタックス)」が強化される方針が示されています。具体的には、特別控除額が従来の3.3億円から1.65億円へと半減し、適用税率も22.5%から30%へと引き上げられることになります。この改正により、所得が約3億円規模の経営者や投資家層にも影響が及ぶと見込まれます。

相続税評価方法の見直し:貸付用不動産と不動産小口化商品

資産課税関連の重要な改正点として、貸付用不動産および不動産小口化商品の相続税評価方法の見直しが盛り込まれました。貸付用不動産に関しては、相続開始や贈与の前5年以内に対価を伴って取得または新築した物件について、原則として「通常の取引価額に相当する金額」で評価される「5年ルール」が適用されることになります。また、不動産小口化商品についても、取得時期にかかわらず一律で「通常の取引価額に相当する金額」によって評価される方針です。

教育資金一括贈与の非課税措置、適用期限の延長なし

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、その適用期限が2026年3月31日とされており、この期限の延長は行われないことが決定されています。この制度は、期限までに拠出された資金については引き続き非課税措置が適用されます。

事業承継税制の特例承継計画提出期限の延長

事業承継税制においては、特例承継計画の提出期限が延長されます。非上場株式等に係る特例承継計画の提出期限が1年6ヶ月、個人事業者の事業用資産に係る個人事業承継計画の提出期限が2年6ヶ月それぞれ延長されることになります。この延長は、後継者選定や事業の磨き上げに時間を要するケースに対応するための措置です。

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Reference / エビデンス

  • 2026年(令和8年)度税制改正法、3月31日に成立 | 税理士法人山田&パートナーズ 2026年度(令和8年度)税制改正法は、2026年3月31日に参議院本会議で可決・成立しました。この法案は、2月20日に閣議決定され、同日国会に提出された後、3月13日に衆議院を通過していました。改正法には、所得税法、法人税法、相続税法、租税特別措置法など国税の改正が含まれています。
  • 【2026年度税制改正大綱】主な改正内容をチェック⑥ | ヤマダ会計グループ 令和8年度(2026年度)税制改正大綱では、「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置(ミニマムタックス)」が強化されました。具体的には、特別控除額が3.3億円から1.65億円へと半減し、適用税率も22.5%から30%へと引き上げられます。これにより、所得が約3億円規模の経営者や投資家層にも影響が及ぶと見込まれ、本改正は2027年1月1日以後の所得について適用されます。
  • 【2026年度税制改正大綱】相続税・贈与税に関する改正項目と今後の影響について 2026年度税制改正大綱では、資産課税関連として、貸付用不動産の評価方法見直し、不動産小口化商品の評価方法見直し、および教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の終了が盛り込まれました。教育資金の一括贈与制度は2026年3月31日をもって終了します。貸付用不動産および不動産小口化商品の評価見直しは、2027年1月1日以後に相続・贈与により取得する財産の評価に適用されます。
  • 【2026年度税制改正大綱】主な改正内容をチェック⑤ | ヤマダ会計グループ 2026年度税制改正大綱では、貸付用不動産の相続税評価方法が見直され、相続開始や贈与の前5年以内に対価を伴って取得または新築した貸付用不動産については、原則として「通常の取引価額に相当する金額」で評価されることになります。また、不動産小口化商品についても、取得時期にかかわらず一律で「通常の取引価額に相当する金額」によって評価される方針です。
  • 2026年度税制改正大綱 資産税関連の主な改正点 - PwC 2025年12月19日に公表された2026年度税制改正大綱には、企業オーナーおよび富裕層に関連する重要な改正点が含まれています。「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置(ミニマム課税)」の見直しでは、特別控除額が3.3億円から1.65億円に引き下げられ、税率が22.5%から30%に引き上げられます。また、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、2026年3月末で適用期限が終了し、延長は行われません。事業承継税制の特例承継計画等の提出期限も延長されます。
  • 相続税税制改正2026の要点|贈与税も税理士が解説 相続税・贈与税の事業承継において、非上場株式等に係る特例承継計画の提出期限が1年6ヶ月延長され、個人事業者の事業用資産に係る個人事業承継計画の提出期限が2年6ヶ月延長されます。これは、後継者選定や事業の磨き上げに時間を要するケースに対応するための措置です。
  • 令和8年度税制改正の大綱の概要 2025年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正大綱の概要によると、物価高への対応、強い経済の実現、税負担の公平性確保の観点から税制改正が行われます。教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、2026年3月31日の適用期限を延長しないことが決定されました。また、極めて高い水準の所得に対する所得税の負担適正化措置では、特別控除額が1億6,500万円に引き下げられ、税率が30%に引き上げられます。