グローバルサウスの地域経済共同体と貿易障壁の現状:2026年3月上旬の動向
グローバルサウスの地域経済統合:EU-メルコスール協定の進展とWTO多角的貿易体制への視点
2026年3月上旬、欧州委員会はEU-メルコスール暫定貿易協定の暫定適用を進めるというEUの決定をメルコスール諸国に正式に通知しました。これに先立ち、アルゼンチンとウルグアイは2月下旬に批准手続きを完了しており、ブラジルとパラグアイも国内手続きを進めている状況です。
この協定は、合計7億人の貿易圏を創出し、貿易障壁の撤廃、雇用とビジネス機会の創出、そしてEUの重要原材料へのアクセス確保を目指すものです。EU加盟国は2026年1月9日に貿易協定を正式に承認しました。
一方、多角的貿易体制の課題も浮き彫りになっています。世界貿易機関(WTO)は2026年3月26日から29日にかけてカメルーンのヤウンデで第14回閣僚会議(MC14)を開催する準備を進めています。この会議は、多角的貿易システムが直面する課題に対する制度的対応を提供することが期待されています。2026年3月6日には、MC14プロセス文書から生じる疑問を検討するノートが発表されました。
アフリカとASEANにおける地域経済共同体の深化とデジタル貿易の動向
アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の実施状況に関して、2026年3月6日にハイレベルウェビナーが開催されました。このウェビナーでは、アフリカ諸国間での実施の不均一性や、旧式の税関システム、政策の断片化といった貿易障壁が課題として議論されました。AfCFTAは、アフリカの農業バリューチェーンを工業化し、経済の回復力と共有された繁栄を推進するために必要な規模と政策枠組みを提供するものと期待されています。アフリカのGDPの51%以上を占めるサービス貿易の重要性も指摘されています。
東南アジア諸国連合(ASEAN)では、デジタル経済枠組み協定(DEFA)の推進が見られます。タイの商務大臣は2026年の世界経済フォーラム年次総会でDEFAを統合された越境貿易とデータガバナンスのモデルとして推進しました。DEFAはデジタル統合を加速し、規制の断片化を減らす上で重要とされており、デジタル商取引、越境サービス、技術主導型イノベーションの成長を支援する統一された地域枠組みの構築を目指しています。
グローバルサウスの貿易ダイナミクス:BRICSの脱ドル化と保護主義の台頭
2026年にインドが議長国を務めるBRICSは、脱ドル化イニシアチブを積極的に推進しています。主要な取り組みとして、BRICS Payの拡大、金に裏打ちされたBRICSユニットの導入、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の相互運用性フレームワーク、BRICS新開発銀行(NDB)による現地通貨建て融資が挙げられます。BRICS Payの拡大は、すでに域内貿易における米ドル使用を約3分の2削減したとされています。BRICSは2024年1月に6つの新メンバーが加わり11カ国体制となり、「BRICSプラス」として世界のGDPの約40%、世界人口の40%以上を占めるまでに拡大しました。
2026年3月上旬の報告によると、グローバルサウスは世界経済秩序を再構築しており、途上国の輸出の半分以上が他の途上国に向かう南南貿易が世界の商業の重要な推進力となっています。
一方で、保護主義的な貿易政策の台頭も顕著です。2026年3月2日に米国通商代表部(USTR)が発表した2026年通商政策アジェンダは、「アメリカ・ファースト」貿易政策の継続を強調し、貿易赤字の削減、貿易相手国とのより均衡の取れた貿易の達成、および貿易協定、執行措置、産業政策の手段を通じて重要な産業を国内に戻すための継続的なコミットメントを再確認しました。
世界的に見ると、2025年には3,000以上の新たな貿易・産業政策措置が導入され、これは10年前の年間水準の3倍以上に達しました。米国では2025年4月にほぼすべての輸入品に10%の基本関税が課され、その後報復措置が続き、米国の実効関税率は約22.5%に上昇し、1909年以来の最高水準となりました。
[ Advertisement ]Reference / エビデンス
- European Union says Mercosur free trade deal will start May 1, linking 700 million people 欧州連合は、メルコスールとの自由貿易協定が2026年5月1日に開始され、7億人の人々を結びつけると発表した。この協定は、EUが中国と米国からの独立を推進する動きの一環である。EUは議会の反対を迂回し、暫定的に手続きを進めた。農家や環境保護論者はこの協定に強く反対している。
- The EU-Mercosur trade agreement - European Commission EU-メルコスール貿易協定は、EUと南米貿易圏(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)の間で合意され、合計7億人の貿易圏を創出する。この協定は、貿易障壁の撤廃、雇用とビジネス機会の創出、EUの規則と公正な競争のための強力な保護措置の確保を目指す。2026年1月9日、EU加盟国は貿易協定を正式に承認し、2026年5月1日から暫定的に適用される予定である。
- EU Opens Massive New Trade Corridor With South America as Global Trade Tensions Rise EUとメルコスール(アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ)は2026年1月に画期的な貿易協定に署名し、7億人をカバーする世界最大の自由貿易圏を創設した。暫定的な実施は2026年5月に予定されている。
- EU to provisionally apply EU–Mercosur Interim Trade Agreement pending CJEU opinion 2026年2月26日にアルゼンチンとウルグアイが批准を完了したことで、EUと関連するメルコスール署名国との間の暫定貿易協定(iTA)の暫定適用は、早ければ2026年5月にも開始される可能性がある。ブラジルとパラグアイも国内の批准手続きを進めている。
- EU-MERCOSUR Agreement to provisionally apply from 1 May 2026 - EUROMETAL 欧州委員会は、EU-メルコスール暫定貿易協定(iTA)の暫定適用を進めるというEUの決定をメルコスール諸国に正式に通知した。この協定は、2026年5月1日からEUと、批准手続きを完了し3月末までにEUに通知したメルコスール諸国との間で暫定的に適用される予定である。
- Global Call to Mobilise Against the WTO and Free Trade Agreements - La Via Campesina 世界貿易機関(WTO)は、2026年3月26日から29日にカメルーンのヤウンデで第14回閣僚会議(MC14)を開催する準備を進めている。
- World Trade Organization (WTO) - The South Centre 2026年3月6日に発表されたMC14プロセス文書から生じる20の疑問を検討するノートが、2026年3月11日に公開された。
- World Trade Organization 14th Ministerial Conference Outcomes: Small wins, progress on reform, and digital trade as deal-breaker | International Institute for Sustainable Development 2026年3月26日から29日にカメルーンのヤウンデで開催された世界貿易機関(WTO)第14回閣僚会議(MC14)では、多角的交渉の膠着状態が続いた。WTO改革、電子商取引における関税適用モラトリアムの延長、開発のための投資円滑化(IFD)に関する合意のWTOへの組み込みという3つの主要議題について合意は得られなかった。唯一の重要な成果は、66のWTO加盟国が電子商取引協定を国内で批准し、WTOの枠組みへの統合を待つ間、暫定的に実施することに合意したことである。
- EU policy on the World Trade Organization in the wake of the March Ministerial - Bruegel MC14は、電子商取引における関税モラトリアムの期間に関する米国とブラジルの意見の相違が主な原因で失敗に終わった。
- WORLD TRADE AND DEVELOPMENT REPORT 2026 - RIS 2026年3月26日から29日にカメルーンのヤウンデで開催されるWTO第14回閣僚会議(MC14)は、多角的貿易システムが直面する課題に対する制度的対応を提供することが期待されている。
- Why is the WTO agreement on ecommerce important? | PIIE 電子商取引に関するWTO協定の唯一の重要な成功は、2024年のWTO閣僚会議で合意された共同声明イニシアチブに示された、電子商取引に関する協定を実施するための道筋を採択したことである。このJSIは正式なWTO協定ではなく、66のWTO加盟国による電子商取引の国内規制に関する意図表明である。しかし、このJSIにはブラジル、インド、南アフリカといった主要な途上国や米国は含まれていない。
- Cameroon: Trade Experts Call for Policy Alignment to Unlock AfCFTA Potential - PAN AFRICAN VISIONS 2026年3月6日に開催されたハイレベルウェビナーでは、カメルーン、南スーダン、ザンビアにおけるアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の実施状況が議論され、政策の整合性強化、インフラ改善、企業間の意識向上を求める声が上がった。南スーダンは2018年にAfCFTA協定に署名したものの、まだ批准していない。
- From Trade Integration to Industrial Transformation: The AfCFTA Agenda AfCFTAは、アフリカの農業バリューチェーンを工業化、回復力、共有された繁栄の推進力に変えるために必要な規模と政策枠組みを提供する。
- Extraordinary Session 2026: Stakeholders move to strengthen AfCFTA implementation 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)議会の2026年臨時会合では、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)を通じた域内貿易の拡大に向けた戦略的行動が求められた。
- National workshop on use of regulatory audit report on services trade under AfCFTA ECOWAS委員会は、2026年3月24日から26日にかけてベナンで、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)におけるサービス貿易の規制監査報告書の活用に焦点を当てた国内ワークショップを開催した。サービス貿易はアフリカのGDPの51%以上を占め、経済変革、雇用創出、地域およびグローバルバリューチェーンへの統合の主要な推進力である。
- ASEAN's economic crossroads in 2026 - Asia News Network タイの商務大臣は、2026年の世界経済フォーラム年次総会で、ASEANのデジタル経済枠組み協定(DEFA)を、統合された越境貿易とデータガバナンスのモデルとして推進した。
- ASEAN Negotiators Move Closer to Landmark Digital Economy Agreement in Manila Talks ASEANの当局者と専門家は、2026年3月8日から10日にかけてマニラで第18回ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)交渉委員会を開催し、デジタル商取引、越境サービス、技術主導型イノベーションの成長を支援する統一された地域枠組みの構築に向けた一歩を踏み出した。
- BRICS In 2026: Complete Guide To The 11-Nation Bloc Reshaping Global Trade - Mena FN BRICSは2024年1月に6つの新メンバーが正式に加わり、加盟国が11カ国に増加した。2025年にはさらにパートナー国を迎え、アジア、アフリカ、ラテンアメリカにおける影響力を拡大している。
- BRICS News: Trump Unsanctions Iran Oil to Lower Prices – Russia Breaks Cuba Blockade インドは2026年にBRICSの議長国を務め、9つの異なる国々をまとめ上げる役割を担っている。
- BRICS De-Dollarization Agenda For 2026 Advances With Global Launch - Watcher Guru 2026年のBRICSの脱ドル化アジェンダは急速に進展しており、インドが議長国を務める中で、計画から実際の実施へと移行している。主要なイニシアチブには、BRICS Payの拡大、BRICSユニット(金に裏打ちされた決済ツール)の導入、BRICS CBDCの相互運用性フレームワーク、BRICS新開発銀行(NDB)の現地通貨建て融資が含まれる。BRICS Payの拡大は、すでに域内貿易における米ドル使用を約3分の2削減している。
- [ROUNDUP] BRICS Rising: The New Global Trade Superpower in 2026? BRICSは、元の5カ国からエジプト、エチオピア、インドネシア、イラン、サウジアラビア、UAEなどの国々を含む「BRICSプラス」へと拡大し、世界のGDPの約40%、世界人口の40%以上、世界の物品輸出の約4分の1、世界の石油生産の半分を占めるようになった。
- Stronger Global South trade helps stabilize world economy amid uncertainty 2026年3月上旬の報告によると、途上国の輸出の半分以上が他の途上国に向かっており、南南貿易が世界の商業の重要な推進力となっている。
- Global South is reshaping world order, 2026 marks turning point - The Herald 2026年までに、国際システムはより多極化し、よりダイナミックになり、責任を持って管理されれば、より包括的になるだろう。グローバルサウスは、世界の人口の大部分、経済的活力の多く、そして地政学的野心の高まりを占めている。
- USTR Releases the President's 2026 Trade Policy Agenda - Wiley Rein 2026年3月2日、米国通商代表部(USTR)は、トランプ大統領の2026年通商政策アジェンダと2025年年次報告書を議会に提出した。2026年のアジェンダは、「アメリカ・ファースト」貿易政策への継続的なコミットメントを強調し、貿易赤字の削減、貿易相手国とのより均衡の取れた貿易の達成、および貿易協定、執行措置、産業政策の手段を通じて重要な産業を国内に戻すための継続的な取り組みを求めている。
- Turning Tariffs into Opportunity:How the Global South Can Reshape U.S. Textile Supply Chains 米国は2025年4月にほぼすべての輸入品に10%の基本関税を課し、数日後には報復措置が続き、一部の品目では関税が50%を超えた。これにより、米国の実効関税率は約22.5%に上昇し、1909年以来の最高水準となった。
- Middle East conflict hits shipping, oil prices and other international trade stories to know this month - The World Economic Forum 2025年には世界中で3,000以上の新たな貿易・産業政策措置が導入され、10年前の年間水準の3倍以上となった。
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