2026年3月:資源ナショナリズムと中東情勢緊迫化が変える世界エネルギー市場の現状

グローバルサウスの資源戦略:中国の「第15次五カ年計画」とレアメタル

中国政府は2026年3月6日、2026年から2030年を対象とする「第15次五カ年計画」案を発表しました。この計画案では、希土類およびレアメタルを国家戦略資源と位置づけ、産業競争力とサプライチェーン安全保障の強化を図る方針が示されています。この動きに先行して、中国政府は2026年1月にレアアースを含む軍民両用品目の対日輸出管理を大幅に強化しており、日本の製造業、特にEVや半導体産業には深刻な懸念が生じています。この規制が長期化した場合、日本の実質GDPは1.3%減となる可能性が指摘されています。

EYの2026年鉱業・金属セクター調査は、資源ナショナリズムの高まりを主要なビジネスリスクの一つとして挙げており、強固な操業許可の確保が戦略的に重要であると指摘しています。こうした状況を受け、日本政府は重要鉱物サプライチェーンの強靭化を進めています。経済産業省は2026年2月19日に「マテリアル(重要鉱物・部素材)」分野の課題整理と政策の方向性を議論する審議会を開催し、中国など特定国への高い依存度を低減し「自律性」を確保することを最大のテーマに掲げました。国内での鉱山開発・製錬、金属部素材の生産能力拡大、技術開発とリサイクルの加速化、調達の多角化、そして国際連携の5つの論点が提示されています。

中東情勢緊迫化と産油国の輸出戦略:ホルムズ海峡の混乱と原油市場

2026年3月上旬、中東情勢の緊迫化が世界経済に大きな影響を与えています。特に、2026年2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃を機に、世界の原油輸送の約20%(日量約2,000万バレル)が通過するホルムズ海峡が事実上封鎖状態に陥りました。

この事態を受け、原油価格は急騰しました。2月28日にはブレント原油が1バレルあたり111ドル超、WTI原油が99ドル超を記録しています。2026年3月6日アジア時間午前には、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI原油相場(5月限)が1バレルあたり111.57ドル、インターコンチネンタル取引所(ICE)の北海ブレント原油相場(6月限)は1バレルあたり110.30ドルまで上昇しました。これは、トランプ大統領がイランに対しホルムズ海峡の開放に同意しなければ大規模攻撃を行う意向を示したことで、紛争激化への懸念が高まったためです。また、2026年3月の中東産ドバイ原油価格(5月渡し)は、前月より約82%上昇する事態となりました。

原油供給面では、2026年3月、OPEC加盟国による原油生産量は日量平均2157万バレルとなり、前月比で日量730万バレルの大幅な減少を記録しました。これは新型コロナウイルス感染症のパンデミック以来の最低水準であり、主にホルムズ海峡を通る船舶輸送の混乱が原因とされています。特にイラクの生産量減少が顕著でした。

グローバルエネルギー安全保障への影響と各国の対応

資源ナショナリズムの高まりと中東情勢の緊迫化は、グローバルなエネルギー安全保障に複合的な影響を及ぼしています。原油供給の不確実性は、化石燃料依存の脆弱性を露呈させ、各国はエネルギー自給率向上やサプライチェーン多様化の加速を迫られています。

2026年春、世界経済はホルムズ海峡の封鎖リスクによるエネルギー供給危機に直面しており、これに伴い、EVシフトが単なる環境保護の文脈から国家安全保障の文脈へと転換しています。原油供給の不確実性が内燃機関車の維持コストを押し上げ、ガソリン価格がリッターあたり250円〜300円を記録する中、消費者の関心は化石燃料を必要としないEVへと急速に回帰しています。

日本は経済安全保障の観点から、こうした動きに対応しています。経済産業省は2026年2月19日に「マテリアル(重要鉱物・部素材)」分野の審議会を開催し、特定国への依存度が高い重要鉱物の調達リスク低減と「自律性」確保を最大のテーマに掲げました。国内での鉱山開発・製錬、金属部素材の生産能力拡大、技術開発とリサイクルの加速化、調達の多角化、国際連携を強化することで、長期的なエネルギー構造転換への動きを加速させています。

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Reference / エビデンス