グローバル・ミニマム税(Pillar Two)の最新局面:OECD合意と米国企業、各国の対応(2026年3月)

国際法人税ルール:米国関税判決と韓国のPillar Two導入進展

2026年3月上旬、国際税務環境と多国籍企業の事業運営に影響を与える重要な動きが複数見られました。米国では、2026年3月4日に米国国際貿易裁判所(CIT)が、国際緊急経済経済権限法(IEEPA)に基づく関税の還付を命じる判決を下しました。これは、2026年2月2日に米国連邦最高裁判所がIEEPA関税を違法と判断したことを受けたものです。同時期、韓国国税庁は2026年3月中に、2024会計年度から適用されるグローバル・ミニマム税(Pillar Two)の事前申告プログラムを開始しました。これにより、企業は公式期限である2026年6月30日に先立ち、データエラーの特定と修正を早期に行う機会を得ています。

OECD「Side-by-Sideパッケージ」の合意と米国企業の特例

2026年1月、OECD/G20包摂的枠組みは、グローバル・ミニマム税(Pillar Two)制度の協調的な運用に関する「Side-by-Sideパッケージ」に合意しました。この合意は、グローバル・ミニマム税プロジェクトの転換点を示し、異なるミニマム税制度の共存を認めるものです。特に、米国に本拠を置く多国籍企業が特定の条件を満たす国内ミニマム税制度を持つ場合、OECDの軽課税所得ルール(UTPR)の適用から実質的に免除されることが明確にされました。米国財務省は2026年1月5日、この合意を米国企業の全世界的な事業活動に対する米国の課税主権を認めるものと発表しています。このパッケージは、恒久的な簡易実効税率(ETR)セーフハーバー、移行期間国別報告(CbCR)セーフハーバーの1年延長、実質ベースインセンティブ(税恩典)セーフハーバー、最終親事業体(UPE)セーフハーバー、および適格国に係るSide-by-Side(SbS)セーフハーバーを含んでおり、制度の確実性向上と多国籍企業のコンプライアンス負担軽減を目的としています。現在、米国はOECD中央記録で適格要件を満たす唯一の国とされています。

各国の国内法整備と多国籍企業への影響

OECDの「Side-by-Sideパッケージ」合意を受け、各国では国内法整備の動きが進んでいます。日本政府は2026年1月23日、グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置として、2026年度税制改正において「グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置」を閣議決定しました。この措置には、米国を含む一定の要件を満たす国の制度との共存を考慮し、特定の多国籍企業グループ等に対して所得合算ルール(IIR)および軽課税所得ルール(UTPR)の適用免除基準を設ける見直しが含まれます。この改正は、2026年1月1日以降に開始する対象会計年度から適用されるものです。さらに、2026年2月20日には、日本において「所得税法等の一部を改正する法律案」が提出され、2026年度税制改正の法律案が公表されました。

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Reference / エビデンス

  • Tax relief for entities affected by Mideast tensions; Pillar Two pre-filing available 2026年3月、韓国国税庁は、2024会計年度から適用されるグローバル・ミニマム税(Pillar Two)の事前申告プログラムを開始しました。これにより、企業は2026年6月30日の公式期限に先立ち、データエラーの特定と修正を早期に行うことができます。
  • グローバル・ミニマム課税に係る実務対応ガイド | PwC Japanグループ 2026年3月4日、米国国際貿易裁判所(CIT)は、2026年2月2日に米国連邦最高裁判所が違法と判断した国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税の対象となっていた未清算輸入申告について、税関・国境警備局(CBP)に還付を命じました。
  • Treasury announces U.S. exemption from global minimum business tax 2026年1月5日、米国財務省は、OECDのPillar Twoグローバル・ミニマム税制の枠組みにおいて、米国に本拠を置く多国籍企業が免除される新たな国際合意を発表しました。この合意は、米国企業の全世界的な事業活動に対する米国の課税主権を認めるものです。
  • Global Minimum Tax - OECD 2026年1月、BEPSに関する包摂的枠組みは、グローバル・ミニマム税制度の協調的な運用に関する「Side-by-Sideパッケージ」に合意しました。この文書には、多国籍企業および税務当局のコンプライアンス負担を軽減するための簡易実効税率(ETR)セーフハーバー、および移行期間国別報告(CbCR)セーフハーバーの1年延長が含まれています。
  • Despite US exemptions, the show goes on for a global minimum corporate tax 2026年1月5日、トランプ政権からの圧力の下、146カ国が2021年の合意を修正し、グローバル・ミニマム法人税の枠組みは継続されるものの、米国多国籍企業は軽課税所得ルール(UTPR)の適用から免除されることになりました。
  • Pillar two and the new global tax disorder | International Tax Review 2026年1月5日にOECDが発表した「Side-by-Sideパッケージ」は、グローバル・ミニマム税プロジェクトの転換点を示しており、異なるミニマム税制度の共存を認めています。これにより、特定の国内ミニマム税制度を適用する国は、UTPRによる完全なバックストップ執行の対象外となる可能性があります。これは主に米国を念頭に置いたものです。
  • グローバル・ミニマム課税に関する令和7年度税制改正が施行(UTPR・QDMTT) | EY Japan 日本の令和7年度税制改正により、グローバル・ミニマム課税に関する軽課税所得ルール(UTPR)および国内ミニマム課税(QDMTT)が、2026年4月1日以降に開始する対象会計年度から適用されることになりました。
  • 2026年3月期決算における税務上の留意事項 - KPMG International 2026年1月5日にグローバル・ミニマム課税と独自のミニマム課税制度を有する米国を含む一定の要件を満たす国の制度との共存等について国際合意が成立したことを受け、日本政府は2026年1月23日、2026年度税制改正において見直されることとなる「グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置」を閣議決定しました。
  • Corporate & Tax Global Update Vol. 116(2026年3月号) | ベーカー&マッケンジー法律事務所 2026年2月20日、日本において「所得税法等の一部を改正する法律案」が提出され、2026年度税制改正の法律案が公表されました。
  • Worldwide Tax Summary 2026年2月号 | PwC Japanグループ 2026年1月5日、OECDはBEPS包摂的枠組みの147メンバー国・地域が、Pillar Twoグローバル・ミニマム課税ルールに基づく新たな執行ガイダンスパッケージに合意したことを公表しました。この「Side-by-Side Package」には、恒久的な簡易実効税率(ETR)セーフハーバー、移行期間国別報告(CbCR)セーフハーバーの1年延長、実質ベースインセンティブ(税恩典)セーフハーバー、適格国に係るSide-by-Side(SbS)セーフハーバー、および最終親事業体(UPE)セーフハーバーが含まれます。現在、米国はOECD中央記録で適格要件を満たす唯一の国です。
  • OECD發布Pillar Two雙軌制配套措施| 勤業眾信 - Deloitte 2026年1月9日、OECDはPillar Twoの「双軌制配套措施」(Side-by-Side Package)を発表しました。これにより、制度の確実性が向上し、多国籍企業のコンプライアンスコストが削減され、各国の税制調整が強化されることが期待されています。このパッケージは、米国現行のミニマム税制度とPillar Twoの政策目標が高い整合性を持つことに対応し、米国が唯一の適用国として中央名簿に記載されています。
  • OECD发布支柱二并行安排方案,五大安全港破解全球最低税实操困境 - 新浪财经 OECD/G20包摂的枠組みは、「並行アレンジ」(Side-by-Side Package)を発表し、グローバル・ミニマム税の実施における実務上の課題を解決することを目指しています。このパッケージには、最終親会社安全港(UPE安全港)、移行性CbCR安全港の延長、簡易実効税率安全港(SESH)、および実質ベースの税制優遇安全港(SBTI安全港)が含まれています。現在、米国は企業代替ミニマム税(CAMT)を導入しているため、唯一この「並行メカニズム安全港」(SbS安全港)の資格を満たす管轄区域とされています。
  • 国際最低法人課税見直しで145カ国超が合意...トランプ反発のため米企業は例外 2026年1月5日、OECDと米国財務省は、15%の法人税を適用する国際最低課税に関して、米国企業を例外とする見直し案を世界145カ国超が受け入れることで合意したと発表しました。これは、多国籍企業に不利益をもたらすというトランプ米大統領の反発を踏まえたものです。
  • 「最低法人税率」から米企業除外 | OANDA FX/CFD Lab-education(オアンダ ラボ) 2026年1月5日、米国財務省は、国際課税改革の柱の一つである「最低法人税率」の仕組みから米国企業を除外することで、OECDなどの枠組みに参加する145を超える国・地域と合意したと発表しました。ベセント財務長官は、これは米国企業の世界での事業活動に関する米国政府の課税主権を認めるものだと述べました。
  • グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置 - 財務省 2026年1月23日、日本政府は、グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置として、2026年度税制改正において、米国を含む一定の要件を満たす国の制度との共存を考慮し、特定の多国籍企業グループ等に対してIIRおよびUTPRの適用免除基準を設ける見直しを行うことを閣議決定しました。この改正は、2026年1月1日以降に開始する対象会計年度から適用されます。
  • 英国歳入関税庁、移転価格および迂回利益税に関する年次統計を発表 | EY Japan 2026年3月11日、英国歳入関税庁(HMRC)は、2024-25年度の移転価格および迂回利益税(DPT)に関する統計を発表し、移転価格による税収が33億8,700万ポンドへと大幅に増加し、前年度からほぼ倍増したことを明らかにしました。これは、移転価格調査による追加の法人税納付が主な要因とみられています。