2026年3月5日 北米経済・通商政策動向:米国関税の法的争点とUSMCAレビューの始動

米国:関税政策の動向と法的課題

2026年3月5日、米国のベッセント財務長官は、各国に対する一律10%の関税を週内にも15%に引き上げる可能性が高いとの見通しを示しました。この関税は、連邦最高裁判所が「相互関税」を違法と判断したことを受け、トランプ大統領が通商法122条に基づき新たに課したものです。

同日、ニューヨーク州やカリフォルニア州を含む24の米州が、この関税の法的根拠に欠陥があるとして、関税の差し止めと払い戻しを求めて米国際貿易裁判所に提訴しました。これにより、トランプ政権の関税政策が法的課題に直面していることが浮き彫りになっています。

また、2026年3月2日に米国通商代表部(USTR)が議会に提出した2026年通商政策アジェンダでは、「アメリカ・ファースト」貿易政策への継続的なコミットメントが強調されました。主要な優先事項として、貿易交渉の継続、貿易協定と貿易法の執行、世界的な過剰生産能力への対応、重要鉱物に関する複数国間協定の交渉が挙げられています。

メキシコ:USMCAレビューと選挙制度改革の動き

2026年3月5日、米国通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリアー代表とメキシコ経済省のマルセロ・エブラルド長官は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の共同レビュー準備に向けた二国間協議の第一弾を発表しました。両大臣は、協定の利益が主に締約国に帰属するよう、域外からの輸入依存度の低減、原産地規則の強化、北米サプライチェーンの安全性向上などの必要な措置について交渉を開始するよう指示しました。

これに先立つ2026年3月4日には、メキシコ政府が選挙制度改革法案を連邦下院に提出しました。この改革案には、組織犯罪からの資金流入禁止強化、人工知能(AI)の選挙利用規制、公職者による選挙参加ルールの明確化などが含まれており、メキシコの連邦選挙に関連する重要な政策変更と位置づけられています。

北米貿易協定(USMCA)の展望

2026年のUSMCA共同レビューは、北米の結束と世界的な競争力にとって決定的な試練となると見られています。当初は手続き的なレビューと予想されていましたが、現在は協定の近代化と強化の機会として捉えられています。地域統合の深化、非地域からの輸入依存の低減、中国問題への対応などが主要な焦点となる見込みです。米国、メキシコ、カナダの三カ国が、このレビューを通じて地域経済の安定と成長をどのように追求していくかに注目が集まります。

[ Advertisement ]

Reference / エビデンス