グローバルサウスの重要鉱物資源を巡る地政学的動向:国際連携と供給網戦略の最前線(2026年3月)

グローバルサウスの重要性高まる中、国連が公平な資源競争を提唱

2026年3月5日、国連貿易開発会議(UNCTAD)は、重要鉱物資源の需要急増が地政学的および産業的ダイナミクスを再形成していると指摘しました。同会議は、資源豊富な開発途上国、いわゆるグローバルサウスが新たなバリューチェーンの中心になっているとし、公平な競争の必要性を訴えました。同日、国連安全保障理事会では「エネルギー、重要鉱物、安全保障」に関する議論が行われました。また、米国防総省は国内の重要鉱物供給強化に向けた提案要請を開始しており、これら一連の動きは、重要鉱物資源を巡る国際社会と主要国の関心の高まりを示しています。

主要国による供給網強化戦略:米国主導の連携とカナダの動き

米国は2026年2月4日にワシントンD.C.で「2026年重要鉱物閣僚会合」を開催し、54カ国および欧州委員会の代表が参加しました。この会合では、重要鉱物およびレアアースの世界市場再構築を目指す「資源の地政学的関与に関するフォーラム(FORGE)」の立ち上げが発表されました。FORGEは、従来の「鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)」の後継として、多様で強靭かつ安全な重要鉱物サプライチェーンを推進するため、政策調整と国境を越えたプロジェクト連携に焦点を当てた多国間協力の取り組みです。米国は同日、アルゼンチン、クック諸島、エクアドル、ギニア、モロッコ、パラグアイ、ペルー、フィリピン、アラブ首長国連邦、英国、ウズベキスタンを含む11カ国と新たな二国間重要鉱物枠組みまたは覚書(MOU)を締結しました。FORGEイニシアチブは、2026年3月までにグローバルサウス諸国とのパートナーシップを強化し、重要な鉱物資源を確保することを目指しています。会合では、価格下限や特恵貿易圏の創設の可能性についても議論されました。また、カナダのティム・ホジソン天然資源大臣は、2026年3月3日に国内の重要鉱物プロジェクトに1億6500万ドル以上を投資すると発表し、中国が支配するサプライチェーンへの西側諸国の依存を減らす方針を示しています。

グローバルサウスの機会と課題:価値向上と環境・社会リスク

UNCTADは、グローバルサウスの資源国が未加工の鉱物輸出から現地での加工や付加価値向上へ移行することで、経済的利益を大幅に増やせる可能性を指摘しています。一方、国連環境計画(UNEP)は、鉱物生産拡大に伴う温室効果ガス排出、生物多様性損失、人権侵害といった環境、社会、経済、地政学的な深刻なリスクに懸念を表明しています。UNEPは、これらの課題に対処するため、より強力な国際協力と透明性のあるガバナンスの強化を求めています。

今後の展望:地政学的競争と持続可能な開発のバランス

重要鉱物資源を巡る地政学的競争が激化する中で、主要国はサプライチェーンの多様化と強靭化を国家安全保障上の優先事項としています。同時に、グローバルサウス諸国が資源開発から得られる利益を最大化し、持続可能な開発目標(SDGs)に貢献するためには、国際的な枠組みや協力が極めて重要となります。これらの動向は、将来の市場構造、投資機会、および企業戦略に影響を与えるものと示唆されます。

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Reference / エビデンス

  • UN calls for fair play in the global race for critical minerals | UN News 2026年3月5日、国連貿易開発会議(UNCTAD)は、重要鉱物資源の需要急増が地政学的・産業的ダイナミクスを再形成し、資源豊富な開発途上国(グローバルサウス)が新たなバリューチェーンの中心になっていると指摘しました。同日、国連安全保障理事会は「エネルギー、重要鉱物、安全保障」について議論しました。国連環境計画(UNEP)は、鉱物生産拡大が環境、社会、経済、地政学的な深刻なリスクをもたらすことに懸念を表明し、より強力な国際協力と透明性のあるガバナンスを求めました。
  • 米国防総省、重要鉱物の国内供給強化へ提案要請 イラン攻撃前日 - ニューズウィーク 2026年3月5日、米国防総省は国内の重要鉱物供給強化に向けた提案要請を開始しました。
  • 2026 Critical Minerals Ministerial - United States Department of State 2026年2月4日、米国はワシントンD.C.で「2026年重要鉱物閣僚会合」を開催し、54カ国および欧州委員会の代表が参加しました。この会合では、重要鉱物およびレアアースの世界市場を再構築するため、「資源の地政学的関与に関するフォーラム(FORGE)」の立ち上げが発表されました。FORGEは、鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)の後継として、政策およびプロジェクトレベルでの連携強化を目指します。米国は同日、アルゼンチン、クック諸島、エクアドル、ギニア、モロッコ、パラグアイ、ペルー、フィリピン、アラブ首長国連邦、英国、ウズベキスタンを含む11カ国と新たな二国間重要鉱物枠組みまたは覚書(MOU)を締結しました。
  • Critical Minerals Ministerial Introduces New International Cooperation Strategy - CSIS FORGEは、多様で強靭かつ安全な重要鉱物サプライチェーンを推進するため、政策調整と国境を越えたプロジェクト連携に焦点を当てた多国間協力の取り組みです。また、会合では価格下限や特恵貿易圏の創設の可能性についても議論されました。
  • 「重要鉱物サプライチェーン強靱性のための日米アクションプラン」を発出しました - 財務省 2026年3月18日、日本と米国は「重要鉱物サプライチェーン強靱性のための日米アクションプラン」を発表しました。この計画は、中国への依存を低減するため、重要鉱物やレアアースの代替調達先を開発する取り組みに焦点を当て、特定の鉱物を対象とした価格下限措置の導入を検討しています。
  • Federal government announces $165M to boost critical minerals projects – March 3, 2026 2026年3月3日、カナダのティム・ホジソン天然資源大臣は、国内の重要鉱物プロジェクトの計画、開発、加工能力を加速させるために1億6500万ドル以上を投資すると発表しました。これは、中国が支配するサプライチェーンへの西側諸国の依存を減らし、カナダの経済主権と国家安全保障を強化することを目的としています。
  • US Pursuit Critical Minerals Global South Impact March 2026 - The Green Blueprint 米国のFORGEイニシアチブは、2026年3月までにグローバルサウス諸国とのパートナーシップを強化し、重要な鉱物資源を確保することを目指しています。新たな二国間協定は、サプライチェーンの脆弱性を低減し、技術や防衛に不可欠な鉱物の強靭な調達を促進することに焦点を当てています。
  • 【2026年3月24日】アフリカ関連重要ニュース|コーヒーと万年筆 - note 2026年3月23日、伊藤忠商事と独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、南アフリカのプラチナグループメタル(PGM)鉱山であるプラットリーフ鉱山の拡張プロジェクトに対し追加投資を行うことを発表しました。この投資は、日本の水素エネルギー戦略に不可欠なPGMの安定供給確保に貢献します。