グローバルサウスの貿易秩序変革:2026年3月、地域経済統合と障壁の最新状況
グローバルサウスの貿易環境:統合と障壁の最新動向(2026年3月)
2026年3月5日に開幕した中国の第14期全国人民代表大会第4回会議では、2026年の貿易・投資政策の方向性が発表された。中国は、より多くの二国間・多国間貿易・投資協定の締結推進、デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)や環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加入交渉の積極的な推進、デジタル貿易・グリーン貿易の発展を掲げている。また、同時期である2026年3月には、日本とアラブ首長国連邦(UAE)との包括的経済連携協定(CEPA)の交渉が妥結した。これらの動きは、グローバルサウスにおける地域経済統合の進展と貿易障壁の動向を象徴している。
地域経済共同体の深化:ASEANとAfCFTAの進展
ASEANは2026年の経済戦略として、貿易・投資のシームレスな域内統合深化、デジタル市場の発展(ASEANデジタル経済枠組み協定DEFA)、中小零細企業(MSME)の能力強化、グリーン経済への移行加速、クリエイティブ経済の推進の5つを策定しており、2026年3月に開催予定のASEAN経済大臣会合に提出される予定である。
アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)は50カ国で批准書の寄託を完了している。2026年2月のアフリカ連合(AU)総会では、自動車分野の原産地規則が承認された。この規則では、自動車および部品が40%以上のアフリカ産材料を含むことでアフリカ原産となる。
BRICSは2026年時点で、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、インドネシアの11の正式加盟国と10の公式パートナー国で構成されており、グローバルサウス諸国の多国間協力における影響力が増している。インドは2026年の議長国を務めている。
貿易障壁の変容と国際貿易体制の課題
中国は2026年の政策方針として、より多くの二国間・多国間貿易・投資協定の締結推進、デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)や環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加入交渉の積極的な推進、デジタル貿易・グリーン貿易の発展を掲げている。
日本とアラブ首長国連邦(UAE)との包括的経済連携協定(CEPA)交渉の妥結は、特定の地域における貿易障壁の低減に向けた具体的な動きを示している。
日本国際問題研究所の「戦略アウトルック」は、2026年も世界が「動乱期」にあると指摘しており、自由貿易体制が岐路に立たされている状況で、有志国による二国間FTAやCPTPPなどの地域枠組みの活用が進むと予測している。
日本のグローバルサウス連携戦略と経済協力の推進
経済産業省は2026年2月5日、「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業:二次公募)」の間接補助事業者として75件を採択したと発表した。この事業は、日本企業とグローバルサウス諸国がGX/DX(グリーントランスフォーメーション/デジタルトランスフォーメーション)を通じた社会課題解決、サプライチェーン強靭化、経済安全保障確保に資する実証事業を支援することを目的としている。
結論:グローバルサウスが牽引する新たな貿易秩序の展望
2026年3月現在、グローバルサウス諸国では地域経済共同体の深化が進み、中国による積極的な多国間貿易協定の推進や、日本とUAE間の包括的経済連携協定の妥結といった具体的な動きが見られる。これらの動向は、国際貿易体制が多岐にわたる課題に直面する中で、グローバルサウス諸国が単なる市場としてだけでなく、国際貿易ルールの形成やサプライチェーンの再編において、その重要性を増している。
[ Advertisement ]Reference / エビデンス
- Press conference by Foreign Minister Toshimitsu Motegi (March 31, 2026) - YouTube 2026年3月31日の茂木外務大臣の記者会見では、日仏外務・防衛閣僚会合や「日印経済室」の設置について言及されたが、グローバルサウスの地域経済共同体や貿易障壁に関する直接的な最新情報は含まれていない。
- 世界の発効済みFTAは417件に、ジェトロFTAデータベース(世界) | ビジネス短信 ジェトロは4月3日に世界の自由貿易協定(FTA)データベースを更新し、2025年末時点で発効済みFTAが417件に達したと発表した。2026年3月には日本とアラブ首長国連邦(UAE)との包括的経済連携協定(CEPA)の交渉が妥結した。
- トランプ米大統領の貿易政策への判断力を信頼しないと6割弱が回答、シンクタンク調査 - ジェトロ 2026年3月26~30日に実施されたシンクタンク調査によると、トランプ氏の経済政策に対する支持率は31%と過去最低を記録した。2025年にはメキシコとの貿易赤字が中国を上回り、1,946億ドルに達した。
- ASEAN、2026年の経済戦略を策定、3月の経済大臣会合に提出(ASEAN、タイ) | ビジネス短信 2026年1月の高級経済実務者会合(SEOM)で、ASEANは2026年の経済戦略として、貿易・投資のシームレスな域内統合深化、デジタル市場の発展、中小零細企業(MSME)の能力強化、グリーン経済への移行加速、クリエイティブ経済の推進の5つを策定し、2026年3月に開催予定のASEAN経済大臣会合に提出される予定である。
- 過去情報(グローバルサウス未来志向型共創等事業) - 経済産業省 経済産業省は「グローバルサウス未来志向型共創等事業」を実施しており、2026年3月23日には令和6年度補正事業(大型実証 非ASEAN)の二次公募採択結果が発表された。この事業は、グローバルサウス諸国における社会課題解決やサプライチェーン強靭化に資する実証事業を支援するものである。
- 中国、2026年はより多くの貿易・投資協定締結を推進(中国) | ビジネス短信 - ジェトロ 中国は2026年3月5~12日に開催された第14期全国人民代表大会(全人代)第4回会議で、より多くの二国間・多国間貿易・投資協定の締結推進、デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)や環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加入交渉の積極的な推進、デジタル貿易・グリーン貿易の発展を2026年の政策方針として発表した。
- エブラル経済相、WTOへの懸念やEUとの協定現代化について言及(インド、カナダ - ジェトロ メキシコのマルセロ・エブラル経済相は3月23日、WTOの機能不全への懸念を表明し、メキシコとEU間の総合協定の現代化交渉が終了し、2026年5月末の署名を待っていると発言した。
- アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)セミナー開催、進出企業による事例紹介やパネルディスカッションを実施(日本、アフリカ) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース 2026年3月9日に開催されたアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)セミナーでは、AfCFTAが50カ国で批准書の寄託を完了し、2026年2月のアフリカ連合(AU)総会で自動車分野の原産地規則が承認されたことが報告された。この規則では、自動車および部品が40%以上のアフリカ産材料を含むことでアフリカ原産となる。
- アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)|外務省 - Ministry of Foreign Affairs of Japan アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)は、アフリカの経済発展と世界における競争力強化を目指し、域内関税撤廃と貿易ルール共通化を進める。2019年5月に発効し、2021年1月1日に運用開始。2025年6月時点で54カ国・地域が署名し、49カ国・地域が批准書の寄託を完了している。
- (世界はトランプ関税にどう対応したか)第12回 ベトナム――米中の間で高成長を模索(藤田 麻衣) 2026年3月時点でも、米国とベトナム間の貿易協定の合意には至っておらず、2025年11月および2026年2月の交渉を経てもめどは立っていない。ベトナムは米中の間で高成長を模索している。
- 令和6年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業:二次公募)」に係る間接補助事業者の採択結果について - 経済産業省 経済産業省は2026年2月5日、令和6年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業:二次公募)」の間接補助事業者として75件を採択したと発表した。この事業は、グローバルサウス諸国における社会課題解決と日本企業の海外展開・新市場開拓を目的としている。
- ブリックス国の加盟を希望する国はどこか?最新リスト(2026年) | EBC Financial Group 2026年時点でBRICSは11の正式加盟国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、インドネシア)と10の公式パートナー国で構成されており、インドが2026年の議長国を務める。BRICSの拡大は、グローバルサウスの貿易ルート、開発融資へのアクセス、通貨決済の選択に影響を与えている。
- 米、日本の車参入障壁注視 「販売は依然低迷」 - 埼玉新聞 米通商代表部(USTR)は2026年3月31日に公表した2026年版貿易障壁報告書で、日本には自動車の市場参入を阻む非関税障壁があるとし、米国製自動車や部品の販売が低迷していると指摘した。
- 【2026年3月27日】アフリカ関連重要ニュース|コーヒーと万年筆 - note 2026年3月26日、世界貿易機関(WTO)の第14回閣僚会議(MC14)がカメルーンのヤウンデで開幕し、WTO改革、漁業補助金協定、開発のための投資円滑化協定(IFDA)のWTO法体系への組み入れ、電子商取引作業計画、農業貿易、後発開発途上国(LDC)の多角的貿易体制への統合支援などが主要議題となっている。
- 経済産業省の経済協力 経済産業省は、グローバルサウス諸国との連携強化のため「グローバルサウス未来志向型共創等事業」を実施しており、日本企業と現地企業がGX/DX等による社会課題解決やサプライチェーン強靭化・経済安全保障の確保に資する実証事業を補助金で支援している。2026年3月30日には令和7年度補正事業の公募について事前周知が行われた。
- 各種お知らせ | 一般財団法人 国際経済交流財団 国際経済交流財団は、日本とグローバルサウスとの関係が世界経済の成功の鍵の一つであると認識しており、次号のウェブサイト公開は2026年3月10日を予定している。
- 京浜扇島地区における電力事業とデータセンター事業を一体とした共同事業 基本合意書締結について | ニュースリリース | ニュース | 三菱商事 - Mitsubishi Corporation 三菱商事とJFEホールディングスは2026年3月末に、京浜扇島地区における電力事業とデータセンター事業を一体とした共同事業の基本合意書を締結した。これはグローバルサウスの貿易障壁とは直接関係がない。
- 貿易障壁にもかかわらず中国 EVが米自動車メーカーに脅威と UBSが指摘 - Investing.com UBSの指摘によると、貿易障壁にもかかわらず中国製EVは米自動車メーカーにとって脅威となっており、Stellantisは中国のLeapMotorとカナダでのEV製造について協議している。カナダと中国は2026年1月に中国製EVに対する関税引き下げで合意した。
- 令和7年度補正予算 グローバルサウス未来志向型共創等事業(小規模実証・FS事業) 第1回公募に向けた最新動向と準備ポイント | イースクエア 経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」は、グローバルサウス諸国における社会課題解決と日本企業の海外展開・新市場開拓を後押しする支援策であり、2026年3月10日時点で令和7年度補正予算の事業者向け第1回公募開始日は未公表だが、制度の立ち上がりは進んでいる。
- 令和8年「関税定率法等の一部を改正する法律」完全解説 2026年3月31日に「関税定率法等の一部を改正する法律」が成立・公布され、保税制度の強化、AD関税の迂回防止制度創設、少額輸入への段階的課税強化などが盛り込まれた。これは日本の貿易関連法規の変更であり、グローバルサウスの地域経済共同体や貿易障壁の推移とは直接関係がない。
- 戦略アウトルック - 日本国際問題研究所 日本国際問題研究所の「戦略アウトルック」は、2026年も世界が「動乱期」にあると指摘し、中東やウクライナ紛争、米国の国内政治の不確実性、中国の産業補助金、サプライチェーンの脆弱性、気候変動など多層的な脅威を挙げている。自由貿易体制は岐路に立たされており、有志国による二国間FTAやCPTPPなどの地域枠組みの活用が進むと予測している。
- 総務省事業「ふるさとミライカレッジ」 マッチングサイトによる全国展開を開始ー「地域課題解決のモデル実証事例および先進事例分析の共有」「地方自治体と大学等高等教育機関の地域課題解決プロジェクトのマッチング」を支援ー | 掲載情報詳細 | 株式会社NTT DXパートナー NTT DXパートナーは、2026年3月31日に総務省事業「ふるさとミライカレッジ」のマッチングサイトによる全国展開を開始したと発表した。これは地域課題解決を目的とした国内事業であり、グローバルサウスの貿易動向とは直接関係がない。
- 米連邦通信委、外国製ルーターの輸入・販売を実質禁止、未認証モデルが対象(米国) - ジェトロ 米国連邦通信委員会(FCC)は2026年3月23日、国家安全保障上の脅威となり得る外国製消費者向けルーターを「対象機器・サービス」リストに追加し、未認証モデルの輸入・販売を実質的に禁止すると発表した。これは特定の製品分野における貿易障壁の強化を示す。
- 2026年、グローバル企業がアフリカをこれまでと異なる視点で捉え始めている理由 2026年、グローバル企業はアフリカを「いつかの市場」から「今、数字が見える市場」として捉え始めており、都市化、若年層人口拡大、デジタル化により需要が形成されつつある。サプライチェーンの再設計の中で、アフリカは製造・組立、原材料調達の現実的な選択肢として検討されている。
- 今日のアフリカ - 2026年03月 - 東京外国語大学 東京外国語大学の「今日のアフリカ」2026年3月一覧ページには、アフリカ関連のニュースが掲載されているが、グローバルサウスの地域経済共同体や貿易障壁に関する直接的な最新情報は含まれていない。
- BRICS - Wikipedia BRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピア、インドネシアの10カ国から成る国際会議であり、2024年の首脳会議でイラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピアが参加し、2025年にはインドネシアが参加して10カ国に拡大した。BRICSは新開発銀行などを通じて西側諸国と競合するイニシアチブを実施している。
- BRICS~拡大続けるが、多国間主義には限界も | 住友商事グローバルリサーチ(SCGR) 2025年7月に開催された第17回BRICSサミットでは、BRICSがパートナー国を含めると人口で世界の半分以上、GDPで4割以上を占める規模に拡大していることが示された。米国はブラジルや南アフリカに対し高関税を据え置くなど、「米国対BRICS」の構図が再び浮かび上がっている。
- 中国とASEANの経済貿易協力は強固な基盤の上に成り立っている。 - Vietnam.vn 中国とASEANの経済貿易協力は強固な基盤の上に成り立っており、2026年には二国間貿易額が8兆元(約1兆1640億米ドル)を超える見込みである。ASEANは6年連続で中国にとって最大の貿易相手国であり、中国は17年連続でASEANにとって最大の貿易相手国であり続けている。
- 「AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)合同セミナー アフリカ・日本ビジネス対話:AfCFTAを通じた日本企業のアフリカ市場の可能性」(3/9) 2026年3月9日に開催された「AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)合同セミナー」では、AfCFTAが14億人規模の単一市場を形成し、域内貿易および投資拡大を通じてアフリカの産業発展を促進する枠組みであることが強調された。セミナーではAfCFTAの最新動向と日本企業およびアフリカ企業による実践事例が共有された。
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