OECD「Side-by-Side Package」合意が導く国際法人税改革:多国籍企業が直面する課題と日本の対応(2026年3月時点)

グローバル・ミニマム課税:『Side-by-Side Package』合意と日本の対応

OECDは2026年1月5日、グローバル・ミニマム課税(第2の柱)に関する新たな行政ガイダンスパッケージ「Side-by-Side Package」に合意したと発表しました。この合意には、BEPS包摂的枠組みの147メンバーが賛同しました。

このパッケージは、恒久的な簡素化された実効税率(ETR)セーフハーバー、移行期CbCRセーフハーバーの1年延長、実体ベースの税制優遇措置セーフハーバー、適格国向けのSide-by-Side(SbS)セーフハーバー、およびUPEセーフハーバーを含みます。特に重要なのは、米国のグローバル無形資産低課税所得(GILTI)制度のような独自のミニマム課税制度を持つ国の多国籍企業に対し、所得合算ルール(IIR)および軽課税所得ルール(UTPR)の適用を免除する「Side-by-Side (SbS)セーフハーバー」が導入された点です。

この合意は、米国が二重のミニマム課税制度に直面する懸念を解消し、米国の投資とイノベーションを保護することを目的としていました。米財務長官は2026年1月8日、OECDの合意を受けて、米国に本社を置く企業は米国のグローバル最低税のみの対象となり、第2の柱の適用外となる合意に達したことを歓迎する声明を発表しました。G7は2025年6月末にSbSシステムの原則を承認し、包摂的枠組みは2025年末までに合意に達し、2026年1月5日には全ての異議が撤回されました。

この国際合意を受け、日本政府は2026年度税制改正において、関連制度の見直しを行う方針を2026年1月23日に発表しました。KPMGも2026年3月2日、2026年3月期決算における税務上の留意事項として、国際最低課税額に対する法人税について、OECDガイダンスを踏まえた見直しが行われることに言及しています。

多国籍企業への影響と展望

グローバル・ミニマム課税ルールの複雑な進化は、多国籍企業に大きな影響を与え続けています。特に、国際最低課税額に対する法人税は大規模な多国籍企業を対象としており、適用企業は体制整備や計算方法において新たな対応を迫られています。海外子会社との連携を含め、組織体制のあり方も新たな局面を迎えています。

日本の法制度はOECDのモデルルールに沿っていますが、各国での法制化における実務上の要因により複雑な点が多く、多くの日本企業は2024年度から決算・申告対応が求められています。

2026年1月に発表されたOECDの「Side-by-Side」ガイダンスは、異なるミニマム税システムが共存することを包摂的枠組みが受け入れたことを意味し、グローバル・ミニマム税プロジェクトの転換点を示しています。このような新たなガイダンスへの適応は、企業の税務戦略、コンプライアンス、および報告体制に継続的な課題をもたらします。国際的な税務協力の継続的な重要性は変わらず、国際課税の枠組みは常に進化を続けると見られます。

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Reference / エビデンス

  • Pillar Two Implementation – oecdpillars.com 2026年3月25日、オーストラリアは国内ミニマム追加税(DMTT)のOECD行政ガイダンスの側面を組み込むため、第2の柱規則を改正しました。また、2026年3月20日には、外国の適格IIR、適格国内ミニマム追加税、およびQDMTTセーフハーバーの国内リストを更新しました。2026年3月24日、フィンランドは2026年1月のOECD Side By Side Tax Packageおよび以前のOECD行政ガイダンスの側面を規定するため、ミニマム税法を改正する法律を官報に掲載しました。2026年3月17日、ベルギーは第2の柱通貨換算ルールに関する通達2026/C/41を発行しました。
  • Weekly Tax News - Monday 23 March 2026 - ETAF 2026年3月16日、欧州議会の社会民主進歩同盟(S&D)グループは、2026年1月5日に合意されたSide-by-Sideシステム(SbS)の経済的影響について、欧州委員会の税制担当委員に説明を求める書簡を送付しました。SbSシステムは、米国の多国籍企業をグローバル・ミニマム税(GMT)の主要要素から免除するものです。
  • Pillar Two Country Tracker - PwC 2026年1月5日、OECDはBEPS包摂的枠組みの147メンバーが、第2の柱グローバル・ミニマム税ルール(GloBEルール)に関する新たな行政ガイダンスパッケージに合意したと発表しました。この「Side-by-Side Package」には、恒久的な簡素化された実効税率(ETR)セーフハーバー、移行期CbCRセーフハーバーの1年延長、実体ベースの税制優遇措置セーフハーバー、適格国向けのSide-by-Side(SbS)セーフハーバーおよびUPEセーフハーバーが含まれています。
  • Pillar 2 Project Continues: Updates On The OECD - Forbes 2026年3月3日の記事では、OECDの第2の柱Side-by-Sideパッケージ合意と、各国が新たな状況に適応している状況が議論されています。この合意は、米国のグローバル無形資産低課税所得(GILTI)制度と第2の柱制度の政治的に受け入れ可能な安定した共存を求める米国の要請に応えるものでした。G7は2025年6月末にSide-by-Sideシステムの原則を承認し、2025年末までに包摂的枠組みが合意に達し、2026年1月5日に全ての異議が撤回され、OECDが第2の柱ガイダンスの大きなパッケージを公表しました。
  • グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置 - 財務省 2026年1月5日にグローバル・ミニマム課税と独自のミニマム課税制度を有する米国を含む一定の要件を満たす国の制度との共存等について国際合意が成立したことを受け、日本は2026年度税制改正において、当該合意に則り制度の見直しを行うことを2026年1月23日に発表しました。
  • Pillar two and the new global tax disorder | International Tax Review 2026年1月に発表されたOECDの「Side-by-Side」ガイダンスは、グローバル・ミニマム税プロジェクトの転換点を示しています。このガイダンスは、正式に2021年の合意を再開することなく、異なるミニマム税システムが共存することを包摂的枠組みが受け入れたことを意味します。これは主に米国を念頭に置いて設計されており、米国の国内制度が同等のミニマム課税結果を達成する場合、他の国はUTPRによる追加課税を適用しないことになります。
  • グローバル・ミニマム課税に係る実務対応ガイド | PwC Japanグループ PwC税理士法人は、2026年3月6日に、2024年4月から日本でも導入されたグローバル・ミニマム課税(国際最低課税額に対する法人税)について、申告実務に携わる企業担当者向けに、制度内容と対応ポイントを整理した実務対応ガイドを発行しました。日本の法制度はOECDのモデルルールに沿っていますが、各国での法制化における実務上の要因により複雑な点が多く、多くの日本企業は2024年度から決算・申告対応が求められています。
  • 2026年3月期の決算上の留意事項 -税務編- - YouTube 2026年3月期の法人税申告では、グローバル・ミニマム課税が大規模な多国籍企業を対象としており、適用企業は体制整備や計算方法で新たな対応を迫られています。海外子会社との連携を含め、組織体制のあり方も新たな局面を迎えています。
  • 2026年度税制改正 グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置 - KPMG International KPMGは2026年1月26日に、2026年度税制改正において、2026年1月5日に合意された「Side-by-Side Package」に則り、日本におけるグローバル・ミニマム課税に相当する制度が見直されることを報じました。このパッケージには、共存適格国(米国)に最終親会社が所在する多国籍企業グループにはIIR及びUTPRの適用を免除する内容などが含まれています。
  • 2026年3月期決算における税務上の留意事項 - KPMG International KPMGは2026年3月2日に、2026年3月期決算における税務上の留意事項として、国際課税の分野では「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税」について、OECDから公表されたガイダンス等を踏まえた見直しが行われること、および2026年1月5日にグローバル・ミニマム課税と独自のミニマム課税制度を有する米国を含む一定の要件を満たす国の制度との共存等について国際合意が成立したことを受けて、2026年度税制改正において見直される「グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置」が閣議決定されたことに言及しました。
  • 米国通商代表部、構造的過剰生産能力に関する第301条調査を開始、パブリックコメントの募集および公聴会日程を公表 | EY Japan 2026年3月11日、米国通商代表部(USTR)は、中国および欧州連合(EU)の構造的過剰生産能力に関する第301条調査を開始しました。これは直接的な法人税ルールではありませんが、多国籍企業の事業環境に影響を与える可能性のある国際貿易政策の動きとして関連します。
  • 国際最低法人課税見直しで145カ国超が合意...トランプ反発のため米企業は例外 2026年1月5日、OECDと米財務省は、15%の法人税を適用することなどを規定した国際最低課税に関し、米企業を例外とする見直し案を受け入れることで世界145カ国超が合意したと発表しました。これは、多国籍企業に不利益をもたらすとしてトランプ米大統領が反発したことを踏まえ、米企業を例外とする規定が盛り込まれたものです。
  • ベッセント米財務長官、在米企業のグローバル・ミニマム課税適用外を歓迎する声明発表(米国) 2026年1月8日、OECDの合意を受け、ベッセント米財務長官は、米国に本社を置く企業は米国のグローバル最低税のみの対象とし、第2の柱は適用外とする合意に達したことを歓迎する声明を発表しました。この「SbSセーフハーバー」制度は、米国の主張に基づき、本社設立国で一定基準を満たす企業に対し、グローバル・ミニマム課税の定める所得合算ルール(IIR)および軽課税所得ルール(UTPR)の不適用を認めるものです。
  • グローバル・ミニマム課税に関する令和7年度税制改正が施行(UTPR・QDMTT) | EY Japan 日本では、令和7年度税制改正により、軽課税所得ルール(UTPR)が「国際最低課税残余額に対する法人税」として、また国内ミニマム課税(QDMTT)が「国内最低課税額に対する法人税」として、2026年4月1日以後開始対象会計年度から適用されることになっています。