2026年北米経済・通商政策の動向:米国、カナダ、メキシコの最新進展

米国:通商政策の方向性と国内経済への影響

2026年3月2日、米国通商代表部(USTR)は、ドナルド・トランプ大統領の2026年通商政策アジェンダと2025年年次報告書を議会に提出しました。このアジェンダは「アメリカ・ファースト」貿易政策を強調し、貿易赤字の削減と国内製造業の強化を目指しています。主要な焦点は、互恵的貿易協定(ART)プログラムの継続、貿易協定の厳格な執行、重要鉱物およびセクターのサプライチェーン確保、USMCAの見直し、対中貿易の管理、国際フォーラムでの米国利益促進の6分野です。また、2026年3月には、USTRが中国、欧州連合、日本、インド、メキシコを含む16の主要経済圏における構造的過剰生産能力を対象としたセクション301調査を開始しました。

国内経済の動きとして、2026年2月20日には米国最高裁判所がメキシコからの輸入品に対する25%のIEEPA(国際緊急経済権限法)関税を無効とし、代わりに10%のセクション122追加関税が導入されました。この追加関税は15%への引き上げが発表されたものの、正式には実施されていません。USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の資格を満たす商品は引き続き免除されます。経済状況に関して、ホワイトハウス報道官は2026年3月3日に、2026年3月の雇用統計が予想を大幅に上回り、178,000人の新規雇用があり、建設業と製造業で力強い雇用増加があったと述べ、これをトランプ大統領の政策アジェンダの成果としています。

2026年中間選挙を控える米国では、アフォーダビリティ(生活費負担能力)が消費者の主要な懸念事項であり、中心的な選挙争点となっています。政権は住宅ローン金利の引き下げ、住宅確保、処方薬費用の削減、クレジットカード金利の上限設定などの対策を打ち出しています。一方、民主党はACA(医療費負担適正化法)の税額控除の再開や自己負担額の削減、メディケイドの拡大を優先しており、有権者はトランプ大統領と共和党に対し、家計および医療費の上昇、ACA補助金の期限切れについて責任を問う傾向にあります。

カナダ:金融政策と貿易関係の動向

カナダ銀行は2025年に100ベーシスポイントの利下げを実施しました。2026年1月14日のRBCの「カナダ主要テーマ2026」報告書によると、USMCAの再交渉は2026年以降のカナダの経済見通しにとって極めて重要であるとされています。また、2026年2月17日、カナダは中国に対し、2026年3月1日までにカナダ産菜種に対する関税を現在の84%から約15%に引き下げることを期待していると発表しました。この動きと並行して、カナダは特定の鉄鋼、アルミニウム、およびその派生製品に対する免除措置を拡大しています。

メキシコ:USMCA見直しと国内改革

2026年3月4日のブルッキングス研究所の視点記事は、メキシコが2025年に米国との実効関税率が最も低い国の一つとして地位を確立し、競争力を強化し、サプライチェーン協力とニアショアリングの機会を拡大していると指摘しています。メキシコは2026年1月1日に、1,463の関税コード(メキシコの関税表の約12%)に対する関税引き上げと、強化された税関管理を導入しました。国内政治においては、2026年2月27日に選挙費用の削減、議会構成の見直し、選挙運動および投票規則の変更を含む選挙改革案が議論され、2026年3月2日に議会に提出される予定でした。

北米地域全体の貿易・経済統合

北米地域における貿易は補完的であり、USMCAはその成功を示しています。例えば、米国消費者は年間を通じて手頃な価格の生鮮果物や野菜から恩恵を受け、メキシコの畜産農家は競争力のために米国の穀物に依存しています。この地域の貿易関係は、サプライチェーンの脆弱性に対処し、より強靭な生産エコシステムを構築するためのさらなる機会を提供しています。

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Reference / エビデンス