グローバルサウスの多角外交と自律性:中東情勢とBRICS拡大が示す国際秩序の変容

中東情勢の緊迫化とグローバルサウスへの影響:ホルムズ海峡危機

2026年3月1日、イランがホルムズ海峡の封鎖を通告した。これは米・イスラエルによるイランへの軍事攻撃を受けたものであり、イラン革命防衛隊が封鎖を通知した。翌3月2日には、トランプ米大統領が大規模な対イラン攻撃の実施を表明する一方、イラン革命防衛隊司令官はホルムズ海峡を通過する船舶は全て焼き払うと警告した。

この情勢の緊迫化は、直ちに世界経済に影響を及ぼした。2026年3月3日には、イラン革命防衛隊の顧問がホルムズ海峡の閉鎖と石油タンカーへの強力な措置を示唆したことで、北海ブレント原油価格は8%以上上昇し1バレル85.12ドルに達し、米国産WTI原油も7%以上上昇し1バレル76.47ドルを記録した。これにより、世界のサプライチェーンに重大なリスクが生じている。

2026年3月は、イラン情勢の激化とホルムズ海峡危機が世界の物価、物流、外交、食料に連鎖し、原油価格は月間で歴史的な上昇幅を記録する勢いとなり、各国市場ではインフレ再燃や景気後退への警戒が高まっている。特にエネルギー供給を中東に依存するグローバルサウス諸国は、この事態によって経済的脆弱性が露呈するとともに、自律的なエネルギー戦略や外交の必要性が改めて浮き彫りとなっている。

BRICSの拡大と多極化する国際秩序

BRICS同盟は2026年のさらなる拡大に向けて準備を進めており、世界の経済力バランスを再構築し、脱ドル化の動きを加速させる可能性を秘めている。2026年2月9日時点でBRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカに加え、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、インドネシアの計11の正式加盟国で構成されている。東南アジア初の加盟国であるインドネシアは2025年1月に正式加盟し、BRICS新開発銀行(NDB)への加盟に向けて10億米ドルを拠出することが発表された。

BRICSは現在、世界のGDPの35%以上、世界人口の45%を代表するブロックに成長した。この拡大は、グローバルサウス諸国が多角的な外交を通じて政治的・経済的自律性を追求し、国際秩序における自身の立場を強化しようとする動きとして位置づけられる。

一方で、2025年7月に開催された第17回BRICSサミットでは、加盟国の増加による規模拡大にもかかわらず、課題も浮き彫りになった。米国との二国間関係、ウクライナ紛争、イスラエル・ガザ問題などで加盟国間の立場の違いから意見集約が困難である点が指摘されている。また、「脱ドル」の動きに関しても、中国やロシアが推進する一方で、インドなどは消極的な姿勢を見せるなど、その進展度合いに関して意見の相違が見られる。

グローバルサウスの「大いなる絶縁」と自律性追求

中東情勢の緊迫化やBRICSの拡大といった現在の国際情勢の動きは、グローバルサウス諸国が国際秩序における自律性を追求する傾向を強めていることを示唆している。これらの国々は、防衛の自律性、地政学的経済のレジリエンス、および資源主権の主張を強化することで、一方的な国際秩序への依存を減らし、より多極的な世界における自身の立場を強化しようとしている。

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Reference / エビデンス