2026年3月3日時点:グローバル・ミニマム課税の国際動向と日本の税制改正
日本の2026年度税制改正:グローバル・ミニマム課税の国内法制化と多国籍企業への影響
2026年3月2日、KPMGおよびデロイトトーマツグループは、2026年3月期決算における税務上の留意事項をそれぞれ公表しました。これらの中で、日本の2026年度税制改正における国際最低課税額に対する法人税(グローバル・ミニマム課税)の見直し、および外国子会社合算税制の見直しに言及しています。
国内法制化の進展としては、所得合算ルール(IIR)が2024年4月1日以降に開始する対象会計年度から既に適用されており、軽課税所得ルール(UTPR)および国内ミニマム課税(QDMTT)は2026年4月1日以降に開始する対象会計年度から適用される予定です。
3月決算企業の場合、最初の国際最低課税額確定申告書および特定多国籍企業グループ等報告事項等の提出期限は、2025年3月期に係るものについて2026年9月末とされています。
OECD「第2の柱」プロジェクトの継続的進展と国際合意の現状
2026年3月3日付のForbes記事が報じたところによると、OECDの「第2の柱」プロジェクトは継続的に進展しており、Side-by-Sideパッケージに関する議論が各国で活発化しています。
OECDは2026年1月5日にグローバル・ミニマム課税のSide-by-Sideシステムに関する包括パッケージを公表しました。このパッケージには、4つの新たなセーフハーバーの導入と、CbCR(国別報告書)ベースの移行期セーフハーバーの1年延長が含まれています。
これは、グローバル・ミニマム課税と独自のミニマム課税制度を有する米国(グローバル無形資産低課税所得(GILTI)制度)を含む、一定の要件を満たす国の制度との安定的な共存を目指す国際的な合意に基づくものです。
なお、CbCRベースの移行期セーフハーバーは2027年1月1日以降に開始する会計年度で終了する予定であり、それまでに完全なGloBE実効税率計算システムが稼働している必要があるとされています。
主要国におけるPillar Two導入状況と多国籍企業の対応
日本以外の主要国でもPillar Twoの導入に向けた具体的な動きが進んでいます。オーストラリアでは、特定の要件を満たし納税額がゼロである企業に対し、Pillar Twoに関する税務申告書の提出を免除する規定が導入され、納税者のコンプライアンス負担軽減が図られています。
韓国では、2026年1月16日に2025年税法改正に伴う施行令改正案が発表され、2月中の公布・施行が予定されていました。この改正案には、グローバル・ミニマム課税の国内追加税(QDMTT)に関する詳細規定の整備と、移行期適用免除の1年延長が含まれています。
米国においては、共和党が米国親会社グループに対する軽課税所得ルール(UTPR)の適用を差別的な域外課税であるとして強く反発しており、米国はGILTI制度とPillar Two制度との安定的な共存を求める姿勢を示しています。
各国で異なる導入状況や解釈が見られる中、多国籍企業は複雑化するコンプライアンス要件への対応と、これらが企業戦略に与える影響を慎重に検討する必要に迫られています。
[ Advertisement ]Reference / エビデンス
- 2026年3月期決算における税務上の留意事項 - KPMG International 2026年3月2日、KPMGは2026年3月期決算における税務上の留意事項を公表し、日本の2026年度税制改正における国際最低課税額に対する法人税(グローバル・ミニマム課税)の見直しと外国子会社合算税制の見直しに言及した。
- 2026(R8)年3月決算における税務上の留意事項 | デロイト トーマツ グループ - Deloitte 2026年3月2日、デロイト トーマツ グループは2026年3月期決算における税務上の留意事項を公表し、OECD/G20「BEPS包摂的枠組み」で取りまとめられたグローバル・ミニマム課税(「第2の柱」)の法制化に言及した。
- Japan Enacts its 2026 Tax Reform: an Article-by-Article Commentary on the Pillar Two Amendments – oecdpillars.com 日本は2026年3月31日に2026年度税制改正を制定し、2026年1月のOECD Side-by-Sideパッケージを国内のグローバル・ミニマム課税制度に組み込んだ。これには、新たなSide-by-Sideセーフハーバー(法人税法第82条の3第7項)の導入が含まれ、米国が最初の指定国となった。
- グローバル・ミニマム課税 - 東京共同会計事務所 日本では、所得合算ルール(IIR)は2024年4月1日以降に開始する対象会計年度から適用されており、軽課税所得ルール(UTPR)および国内ミニマム課税(QDMTT)は2026年4月1日以降に開始する対象会計年度から適用される。
- BEPS2.0グローバル・ミニマム課税の仕組みと日本の法制化 - 響き税理士法人 3月決算企業の場合、最初の国際最低課税額確定申告書および特定多国籍企業グループ等報告事項等の提出期限は、2025年3月期に係るものについて2026年9月末である。
- Pillar 2 Project Continues: Updates On The OECD - Forbes 2026年3月3日、Forbesは「Pillar 2 Project Continues: Updates On The OECD」と題する記事を公開し、OECDの最近のPillar Two Side-by-Sideパッケージと各国が新たな状況にどう適応しているかについて議論した。
- OECD、第2の柱グローバル・ミニマム課税に関するSide-by-Sideパッケージを公表:詳細解説 - EY OECDは2026年1月5日、グローバル・ミニマム課税のSide-by-Sideシステムに関する包括パッケージを公表し、4つの新たなセーフハーバーの導入とCbCRセーフハーバーの1年延長を示した。
- グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置 - 財務省 2026年1月5日にグローバル・ミニマム課税と独自のミニマム課税制度を有する米国を含む一定の要件を満たす国の制度との共存等について国際合意が成立した。
- Pillar Two Global Minimum Tax: OECD 2026 Update & GIR Deadlines Pillar TwoのCbCRベースの移行期セーフハーバーは、2027年1月1日以降に開始する会計年度で終了し、それまでに完全なGloBE実効税率計算システムが稼働している必要がある。
- シンガポール「2026年度予算案の公表」、オーストラリア「Pillar 2に関する税務申告書の提出免除」 オーストラリアでは、特定の要件を満たし納税額がゼロである企業に対し、Pillar Twoに関する税務申告書の提出を免除する規定が導入された。これは納税者のコンプライアンス負担軽減を目的としている。
- Pillar Two legislation updates - Deloitte ルクセンブルクは2026年3月26日、IIR/UTPRおよびQDMTTの登録・事前届出に関する更新を行った。
- 2025年税法改正に伴う施行令改正案(国際租税分野) 韓国では、2025年税法改正に伴う施行令改正案が2026年1月16日に発表され、2月中に公布・施行される予定であった。これには、グローバル・ミニマム課税の国内追加税に関する詳細規定の整備と、移行期適用免除の1年延長が含まれる。
- 令和7年度税制改正大綱:ミニマム課税・CFC税制(合算タイミング)・移転価格税制(利益B)、今後の法人税のあり方 米国共和党は、米国親会社グループに対するUTPRの適用を差別的な域外課税であるとして強く反発しており、米国はグローバル無形資産低課税所得(GILTI)制度とPillar Two制度との安定的な共存を求めている。
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