北米エネルギー市場:EIA最新予測と中東情勢が描く輸出戦略と規制の行方
米国:EIA最新予測と中東情勢が輸出戦略に与える影響
米国エネルギー情報局(EIA)が2026年3月2日に発表した短期エネルギーアウトルックによると、米国の原油生産量は2026年に日量平均1360万バレル、2027年には日量1380万バレルに増加すると予測されています。液化天然ガス(LNG)の総輸出量は、2026年に日量170億立方フィート、2027年には日量180億立方フィートに達すると見込まれています。また、2026年には再生可能エネルギー源の増加と石炭火力発電所の約4%の閉鎖により、米国の石炭火力発電量が7%減少すると予測されています。
国際エネルギー機関(IEA)の2026年3月の石油市場レポートでは、2026年2月28日に中東で軍事行動が開始されて以来、世界の石油市場は混乱に直面しており、ホルムズ海峡を通るタンカーの移動がほぼ停止したと報告されています。これにより、原油価格は1バレルあたり20ドル急騰しました。IEAは、3月と4月の世界の石油需要成長予測を日量100万バレル以上下方修正し、2026年全体の需要成長予測も日量64万バレルに引き下げています。
こうした状況の中、米国エネルギー省(DOE)は2025年4月上旬に、液化天然ガス(LNG)輸出ターミナル開発業者に対する出荷開始期限延長に関するバイデン政権時代の制限政策を撤回し、期限延長申請をケースバイケースで検討する以前の手続きに戻しました。国内の環境規制については、米国環境保護庁(EPA)が2026年2月18日、新自動車からの温室効果ガス(GHG)排出規制の根拠となっていた2009年の「エンデンジャーメント・ファインディング(危険認定)」を撤回する最終規則を発表し、軽・中・大型道路車両からのGHG排出基準も廃止されました。
カナダ:気候変動規制の調整と輸出能力拡大への課題
カナダでは、2026年2月に電気自動車普及基準が撤廃されました。
[ Reference ]
- Short-Term Energy Outlook - U.S. Energy Information Administration (EIA)
2026年3月2日に発表された米国エネルギー情報局(EIA)の短期エネルギーアウトルックによると、米国の原油生産量は2026年に日量平均1360万バレル、2027年には日量1380万バレルに増加すると予測されている。液化天然ガス(LNG)の総輸出量は、2026年に日量170億立方フィート、2027年には日量180億立方フィートに達すると見込まれている。また、2026年には再生可能エネルギー源の増加と石炭火力発電所の約4%の閉鎖により、米国の石炭火力発電量が7%減少すると予測されている。
- Oil Market Report - March 2026 – Analysis - IEA
国際エネルギー機関(IEA)の2026年3月の石油市場レポートによると、2026年2月28日に中東で軍事行動が開始されて以来、世界の石油市場は混乱に直面しており、ホルムズ海峡を通るタンカーの移動がほぼ停止した。これにより、原油価格は1バレルあたり20ドル急騰し、3月9日には92ドルに達した。IEAは、3月と4月の世界の石油需要成長予測を日量100万バレル以上下方修正し、2026年全体の需要成長予測も日量64万バレルに引き下げた。
- EPA Finalizes Historic New Renewable Fuel Standards to Strengthen American Energy Security, Support Rural Economies
米国環境保護庁(EPA)は2026年3月27日、2026年と2027年の再生可能燃料基準(RFS)「Set 2」最終規則を確定した。この規則は、米国のバイオ燃料混合量を過去最高の水準に設定し、2025年と比較してバイオディーゼルおよび再生可能ディーゼルの生産と使用を60%以上増加させることを義務付けている。これにより、農村経済に100億ドル以上の経済効果と10万以上の新規雇用が創出されるとEPAは推定している。
- U.S. Environmental Protection Agency Issues Final Rule to Rescind Endangerment Finding Underpinning Federal Regulation of Greenhouse Gas Emissions - Kirkland & Ellis LLP
2026年2月18日、米国環境保護庁(EPA)は、新自動車からの温室効果ガス(GHG)排出規制の根拠となっていた2009年の「エンデンジャーメント・ファインディング(危険認定)」を撤回する最終規則を発表した。この措置により、軽・中・大型道路車両からのGHG排出基準も廃止された。
- Trump's Endangered Species Committee exempts oil and gas drilling in the Gulf from rules - PBS NewsHour
2026年3月31日、トランプ政権の絶滅危惧種委員会は、中東紛争と原油価格高騰を背景とした国家安全保障上の理由から、メキシコ湾での石油・ガス掘削を絶滅危惧種法から免除することを決定した。この決定は、新たなプロジェクトの承認を合理化し、環境保護団体による掘削計画阻止の能力を阻害する可能性がある。
- U.S. Energy Department Revokes Biden Policy On Natural Gas Export Deadlines - Discovery Alert
米国エネルギー省(DOE)は、2025年4月上旬に、液化天然ガス(LNG)輸出ターミナル開発業者に対する出荷開始期限延長に関するバイデン政権時代の制限政策を撤回した。これにより、DOEは期限延長申請をケースバイケースで検討する以前の手続きに戻り、LNG輸出拡大を優先するトランプ政権の姿勢を反映している。
- Canada Eases Climate Rules In Bid To Boost Energy Investment - Carbon Herald
2026年3月30日、カナダ連邦政府とアルバータ州は、石油・ガス部門の排出量上限案や一部のクリーン電力規制を含む複数の気候変動対策を緩和することで合意した。この合意は、アルバータ州が産業炭素価格設定枠組みを強化し、大規模な炭素回収・貯留(CCS)開発を支援することを条件としており、経済成長と市場多様化を優先するカナダのエネルギー戦略の転換を示している。
- Canada's Energy Future 2026: Scenarios and Assumptions - CER / Energy regulator predicts Canada won't meet Trudeau era 2050 net-zero targets - YouTube
カナダエネルギー規制庁(CER)が2026年3月18日に発表した「カナダのエネルギーの未来2026」報告書は、現在の環境政策の下ではカナダが2050年ネットゼロ排出目標を達成することは困難であると予測している。また、2026年2月には電気自動車普及基準が撤廃されたことが報告されている。
- Statement from the Minister of Energy and Natural Resources in support of strengthening global energy stability | BOE Report
2026年3月11日、カナダのエネルギー・天然資源大臣は、中東での軍事行動とホルムズ海峡の混乱による世界的なエネルギー市場の変動期において、カナダが主要なエネルギー生産国および輸出国としてエネルギー安定化を支援する立場にあると表明した。カナダ政府は、輸出能力の増強と多様化、国内エネルギー安全保障の強化、同盟国への支援を目指している。
- Canada can't expand energy exports during global oil shock - The Hub
2026年3月27日の報道によると、カナダのエネルギー産業への投資は、Bill C-48(ブリティッシュコロンビア州北西海岸での大型石油タンカー禁止)やBill C-69(エネルギー・インフラプロジェクト承認プロセスにおける主観的基準導入)などの規制、メタン排出削減要件、産業炭素税の引き上げなどにより阻害されており、世界的なエネルギー需要が高まる中でも輸出能力の拡大が困難な状況にある。
- Mexico's Energy Sovereignty and National Strategy - Latina Republic
2026年3月18日、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、メキシコ石油収用88周年記念式典において、国のエネルギーの未来と主権を強化するコミットメントを再確認した。大統領は、国内の天然ガス生産の増加、再生可能エネルギー源の拡大、石油生産と精製の継続、そして国営企業(ペメックスと連邦電力委員会)の強化が、国家エネルギー戦略の柱であると強調した。
- Mexico issues new standard contract for grid interconnection and connection - Strategic Energy Europe
2026年3月17日、メキシコ国家エネルギー委員会(CNE)は、発電所、エネルギー貯蔵システム、および負荷センターを国家電力システムに相互接続および接続するための新しい標準契約を発行した。この措置は、メキシコの電力部門の規制枠組みを近代化し、送電網接続手続きを簡素化することを目的としている。
- US accuses Mexico of shutting out US energy companies in new trade barriers report - Strategic Energy Europe
2026年4月2日に発表された米国通商代表部(USTR)の「外国貿易障壁に関する2026年国家貿易評価報告書」は、メキシコのエネルギー部門の枠組みを強く批判し、国営企業(連邦電力委員会CFEおよびメキシコ石油PEMEX)を優遇し、民間企業の市場参加を制限することで米国エネルギー企業に不利益をもたらしているとの懸念を表明した。これは、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)のレビューにおける主要な争点となっている。
- Mexico Enacts New Laws for the Power Sector | Norton Rose Fulbright - March 2025
メキシコ政府は、新しい電力部門法(LESE)を施行し、エネルギー省に対し電力部門開発計画を策定し毎年更新するよう指示した。最初の開発計画は2026年3月18日までに提出される予定であり、メキシコ国家が発電および商業化において優先権を保持し、年間平均で送電網に注入されるエネルギーの少なくとも54%がCFE所有の発電所から供給されることを保証することを目標としている。
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