中東情勢緊迫化とホルムズ海峡封鎖:グローバルサウスの資源戦略・投資環境への波及と主要国の対応

中東情勢緊迫化とホルムズ海峡封鎖:グローバルサウスへの波及

2026年2月28日、イスラエルと米国によるイランへの攻撃が開始され、これに対しイランが中東諸国の米軍基地などへ反撃を行ったことで、中東情勢は急激に緊迫化しました。この事態により、国際的な石油輸送の要衝であるホルムズ海峡の通航は事実上停止状態に陥りました。その結果、3月初旬には原油価格が急騰し、世界的なインフレ懸念と景気減速懸念が広がりました。特に、エネルギー輸入依存度の高い新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で大きく下落しています。

資源国有化の動きとサプライチェーン再編:グローバルサウスの選択

中東情勢の緊迫化と資源供給の不安定化は、グローバルサウス諸国の資源戦略に影響を与え、自国の資源権益保護に向けた政策変更の動機付けとなり得ます。2026年には、日本、米国、EU、中国など多くの国が国家主導の産業政策を強力に推進し、半導体などの重要分野の保護・育成を進める「国家資本主義競争」が繰り広げられると予想されています。資源・エネルギーや関連技術を有する諸国では、輸出管理等の規制強化や資源国との連携強化による資源囲い込みの動きが進むと指摘されており、米国はウクライナとの鉱物資源協定やコンゴ民主共和国(DRC)との合意により、重要資源への優先的アクセスを確保しています。このような国際的な資源争奪戦の中、日本の排他的経済水域内にある南鳥島では、2026年3月の日米合意によりレアアース泥の共同開発が進められており、経済安全保障上のプレミアム価格設定として「最低価格保証」の検討が課題となっています。

変動する投資環境:リスクと機会の多角的分析

中東情勢の緊迫化とそれに伴う原油価格の急騰は、グローバルサウス全体の投資環境に影響を及ぼしています。短期的には、世界的なインフレ圧力の増大や景気減速懸念が投資リスクを高めています。一方で、長期的には、エネルギー転換やサプライチェーン多様化の必要性から、新たな投資機会が生まれる可能性も指摘されます。経済産業省は2026年2月5日、令和6年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業:二次公募)」において、234件の応募の中から75件の事業者を採択しました。採択案件には、キルギスでの気候変動予測、インドでの省エネ低温物流、インドネシアでのAI健康支援システムなど多岐にわたる分野があり、これらはグローバルサウス諸国の社会課題解決と日本企業の海外展開、新市場獲得、サプライチェーン強靭化などを目的としています。

主要国の対応とグローバルサウス連携の強化

中東情勢の緊迫化に対し、各国はエネルギー安全保障の強化に動いています。日本は原油のおよそ95%を中東に依存しており、そのほとんどがホルムズ海峡を経由していることから、日本政府は中東原油への高い依存度を背景に、民間および国家備蓄の石油放出を決定しました。また、経済産業大臣はホルムズ海峡を経由しない代替ルートからの調達拡大を進めており、カザフスタンやブラジルなど中東以外の原油調達先が検討されています。このような状況下で、グローバルサウス諸国との連携強化が、エネルギー安全保障や経済安全保障の観点から主要国にとって不可欠となっています。日本は、グローバルサウス諸国の社会課題解決と日本企業の海外展開を目指す事業を支援し、連携強化を図っており、国際社会におけるグローバルサウスの重要性は一層高まっています。

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