国際秩序変動下のグローバルサウス:中東緊迫化とBRICS拡大が促す多角外交と市場自律性

中東情勢の緊迫化とグローバルサウスへの経済的影響

2026年2月28日、米国とイスラエルによるイランへの大規模な攻撃が開始され、原油および天然ガスの輸送要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖された。この事態を受け、原油価格は高い水準で推移している。また、ホルムズ海峡は世界の海上肥料貿易の約3分の1を担っており、その閉鎖により2026年2月下旬以降、尿素価格は約50%上昇した。この肥料価格の高騰は、グローバルサウス諸国の食料安全保障に潜在的な影響を与える可能性がある。

中東情勢の緊迫化は、新興国市場においても影響の差異をもたらしている。石油およびエネルギーの自給率が高いブラジルなどの国では株価が相対的に底堅く推移した一方、インドネシアなど一部の新興国では株価が下落する動きが見られた。

BRICSの拡大と多極化する国際秩序

2026年2月27日のBinance Newsの報道によると、BRICSは2026年の拡大により世界のGDPの35%、人口の45%を代表するまでに成長し、進化する多極的な金融システムにおいて中心的な力としての地位を確立し、「ドル離れ」のシフトを推進している。2026年時点でBRICSは11の正式加盟国を擁し、これには2024年の拡大と2025年1月のインドネシアの正式加盟が含まれる。また、BRICSには10の公式パートナー国が存在し、これは即時の完全加盟を強制することなく、参加を希望する国々の需要を吸収するために2024年10月のカザン・サミットで創設された構造である。BRICSへの参加を希望する国々は、必ずしも単一のイデオロギーではなく、選択肢の拡大を求めて集まっている。BRICSは、西側諸国主導の国際機関に対抗し、新興経済国としての地位を強化するとともに、国際的な影響力を高めることを目指している。

グローバルサウスの多角外交と政治的自律性の追求

中東情勢の緊迫化とBRICSの拡大を背景に、グローバルサウス諸国は国際社会において政治的自律性を追求し、多角的な外交を展開している。先行きの世界経済は国際情勢や通商環境の不安定化の中でも底堅い成長を維持すると見込まれるが、米国の自国第一主義的政策は円滑な経済活動の重石となるほか、中国の供給力強化が世界の需給バランスの歪みを広げる可能性も懸念されている。2025年12月に策定された米国の『国家安全保障戦略』では、米国第一の「力による平和」と西半球での米国の卓越性を主張する「ドンロー・ドクトリン」が打ち出され、大国が大きな影響力を持つことを国際関係における不変の真理として認めている。これは、グローバルサウス諸国の利益を無視した、米中ロによる「勢力圏」分割につながる可能性が指摘されている。

2026年2月14日に開催されたG7外相会合では、グローバルサウスを含むパートナーと連携して対応することの重要性が確認された。しかし、世界の援助予算が縮小傾向にある中で、G7が「グローバルな連帯」を真に意味のあるものにするために資金を伴うかどうかが試されている現状がある。脆弱な国々では、援助に依存するプログラムがすでに縮小または停止に追い込まれており、グローバルサウス諸国は主要国間のバランスを取りながら、自国の利益を最大化しようとする動きを強めている。

新興国市場の動向と「脱ドル化」の思惑

2025年後半以降、新興国株式市場への資金流入が増加しており、外貨準備における通貨分散の動きやドル安傾向が意識される中で、投資家の間に地域分散を志向する動きが広がりつつある。地政学リスクや外交問題が不確実性要因として意識される中、「脱ドル化」への懸念が2026年もくすぶり続け、これが非ドル資産や、先進国と比較して財政政策への依存度が低く、内需や構造改革を成長源泉とする新興国への投資を促し、新興国金融市場に追い風となっている。

中東情勢の緊迫化による原油価格の高騰は、新興国市場においてエネルギー自給率の差異が経済的影響に明確な違いをもたらす例となっている。エネルギー自給率の高いブラジルの株価が堅調に推移した一方で、インドネシアなどエネルギー自給率の低い一部の新興国では株価が下落した。このことは、外部要因に対する新興国市場の自律性の重要性を示唆している。

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