ホルムズ海峡危機が加速させる東アジア海洋資源権益の変動:エネルギー安全保障と日本の取り組み、南シナ海情勢

ホルムズ海峡危機と東アジアのエネルギー安全保障

2026年2月28日、米国とイスラエルによるイラン全土への大規模空爆が実施された後、イラン革命防衛隊はホルムズ海峡を閉鎖し、これに伴い原油価格が急騰した。この事態は、石油や鉱物等のエネルギー資源の海上輸送に大きく依存する東アジア諸国、特に日本や中国のエネルギー安全保障に直接的な影響を及ぼしている。日本は四方を海に囲まれた海洋国家であり、エネルギー資源輸入の海上輸送への依存度が高い。米国はホルムズ海峡の安全確保のため、日本、韓国、英国、フランス、中国を含む各国に多国間連合への艦船派遣を要請したが、中国は米国主導の枠組みへの参加を拒否した。代わりに、中国は独自の第48次護衛艦隊をオマーン湾付近に展開した。これは、米国主導の軍事枠組みから距離を置きつつ、自国のエネルギー安全保障を確保し、イランとの関係維持を図るという中国の戦略的意図を示すものと分析される。この危機は、東アジアにおける海洋安全保障の議論を一層活性化させている。

日本の海洋資源管理と水産業の持続可能性への取り組み

2026年2月26日、日本の水産業の成長産業化を目的として、一般社団法人大日本水産会、国立研究開発法人水産研究・教育機構、国立大学法人東京海洋大学、および生物系特定産業技術研究支援センターの4機関が連携協定を締結した。この協定は、革新的な新技術の開発と社会実装を加速することにより、日本の水産業の持続可能な発展と食料安全保障への貢献を目指すものである。日本は海洋国家として、海洋の生物資源や海底資源を経済的に重要視しており、海洋の国際法秩序の維持にも積極的に取り組んでいる。日本は1996年6月に国連海洋法条約を批准しており、2025年12月には公海等における海洋生物多様性(BBNJ)協定を締結した。外務省は、法の支配に基づく「自由で開かれた海洋」が国際社会全体の平和と繁栄に不可欠であるとの立場から、海洋に関する外交政策を推進している。

南シナ海・東シナ海における権益問題の継続的動向

ホルムズ海峡危機が東アジアの海洋安全保障に与える影響の文脈において、南シナ海および東シナ海における海洋資源権益を巡る沿岸国の政治的動向は引き続き注目されている。南シナ海では、中国が「9段線」地図を根拠とした領有権主張を継続し、スプラトリー諸島への侵出や人工島の造成を進めている。これに対し、フィリピンは国連海洋法条約に基づき常設仲裁裁判所に提訴し、中国の主張は無効とされたものの、中国はこの裁定を無視している。2024年には中国海警局の船舶によるフィリピン船への衝突や放水砲使用などの威圧的行動が報告され、南シナ海は偶発的事案のリスクを排除できない危険な地域となっている。2025年12月にも、中国海警局がフィリピン漁船に放水攻撃を行い乗組員が負傷する事案が発生したほか、フィリピンの航空機に対し中国軍のヘリコプターが異常接近する危険行為も報告されている。2024年には中国共産党が南シナ海で巡回活動を強化し、他国の排他的経済水域(EEZ)内で多くの巡回を実施したにもかかわらず、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナムなどの南シナ海諸国は自国の合法的な海洋領有主張を堅持している。米国とベトナムも、南シナ海における中国の圧力の高まりに対応するため、防衛協力を強化している。2026年2月23日に開催された日・太平洋島嶼国国防大臣会合では、太平洋島嶼国が中国による違法な漁業や強引な海洋進出への懸念を抱いていることが指摘された。

一方、東シナ海では、日中間の排他的経済水域(EEZ)および大陸棚の境界が未画定であるにもかかわらず、中国による一方的な資源開発活動が継続している。2025年8月には、東シナ海の日中中間線付近の中国側海域で新たな構造物の設置が進められていることが確認され、日本は「一方的な開発は極めて遺憾」として強く抗議した。また、2026年1月8日には、中国が日中中間線の中国側海域で移動式の掘削船を活動させたことが確認され、木原官房長官はこれを新たなガス田開発の一環とみなし外交ルートを通じて抗議した。中国による構造物の設置は約20基に上り、日本は地下で日本の資源が奪われている可能性を主張している。日本は2008年の「東シナ海油ガス田共同開発合意」の再確認と、その実施に関する国際約束締結交渉の早期再開を求めているが、具体的な進展はいまだ見られない。これらの問題は、地域の安定と資源政策に長期的な影響を与えている。

深海資源開発と新たなフロンティア

東アジア諸国が注目する新たな海洋資源として、深海鉱物資源開発の動向がある。日本の南鳥島沖の排他的経済水域(EEZ)の海底深くには、日本の年間需要の数百年分に相当するレアアース泥が賦存している。その品位は中国の陸上鉱山の約20倍とされ、日本はこの深海資源の商業化に向けた技術開発を進めている。この分野における技術的進展は、日本が将来的に資源輸入国から供給国へと転換する潜在的な可能性を秘めている。

[ Reference ]

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