南シナ海情勢緊迫化:日米比共同演習と中国の拠点拡大が示す東アジアの地政学リスク

南シナ海における多国間演習と中国の反応:高まる地域の緊張

2026年2月27日、フィリピン軍は2月23日から26日にかけて海上自衛隊および米インド太平洋軍と南シナ海で共同演習を実施したと発表しました。この「海上協同活動」は、台湾に近いルソン島北方の海空域において、航行の自由の支持と国際法上の海洋権利尊重を目的として、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)と領空内で実施されました。これに対し、中国軍南部戦区は同日、2月23日から26日に南シナ海で「定例の巡視」を行ったと発表し、日米比の演習を「地域の平和と安定を乱した」と非難しました。これらの動きは、東アジアの安全保障環境における緊張が高まっている現状を示しています。

中国による南シナ海での拠点拡大:進行する現状変更

英国を拠点とする研究団体オープンソース・センター(OSC)が2026年2月に発表した報告書は、中国が南シナ海の西沙諸島にある羚羊礁周辺で海底の浚渫活動を開始し、開発可能な土地を造成している状況を明らかにしています。この活動は、国際貿易ルートである南シナ海全域に軍事力を投射するための軍事基地やその他の施設を支援することを目的としているとされており、環境への懸念や他国の排他的経済水域(EEZ)内での活動であるという批判を無視しています。中国政府は2025年10月にこの計画に着手し、少なくとも最初の3か月間は1隻の浚渫船しか信号を送信していませんでしたが、衛星画像からは多数の浚渫船が現場で活動していることが確認されています。これは、中国による南シナ海での継続的な拠点拡大が、この地域の地政学リスクとして認識されていることを示唆しています。

地域安全保障協力の動向と課題

中国の海洋進出に対抗するため、地域協力の動きが活発化しています。日米比共同演習はその一例です。フィリピン政府は、中国の南シナ海での行動を「違法かつ危険な行為」として国連海洋法条約(UNCLOS)違反であると非難しており、軍事力で劣る現状において国際法と多国間外交を不可欠な防衛手段と位置付けています。こうした背景から、米国議会は南シナ海およびインド太平洋地域での緊張の高まりを受け、フィリピンへの新たな安全保障支援として25億ドルを承認しています。一方、中国側はこれらの地域協力を「地域の平和と安定を乱すもの」と見なしており、地域協力の進展が新たな対立軸を生み出し、東アジアの安全保障環境に複雑な課題を提起している現状が浮き彫りになっています。

[ Reference ]

  • 日米比、南シナ海で演習 台湾付近、中国は反発 - 時事通信
    2026年2月27日、フィリピン軍は、2月23日から26日にかけて海上自衛隊および米インド太平洋軍と南シナ海で演習を実施したと発表した。この演習は台湾に近いルソン島北方の海空域で行われ、航行の自由の支持と国際法上の海洋権利尊重を示す「海上協同活動」として、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)と領空内で実施された。
  • 中国、南シナ海で哨戒活動 平和を「乱している」とフィリピンを非難 - ニューズウィーク
    中国軍南部戦区は2026年2月27日、2月23日から26日に南シナ海で「定例の巡視」を行ったと発表し、日米比の演習を「地域の平和と安定を乱した」と非難した。
  • 報告書が指摘、南シナ海の別の岩礁で中国が軍事拠点を拡大 - Indo-Pacific Defense FORUM
    英国を拠点とする研究団体オープンソース・センター(OSC)の2026年2月の報告書によると、中国は南シナ海の西沙諸島にある羚羊礁周辺で海底の浚渫を開始し、開発可能な土地を造成するために砂や岩石を搬入している。この活動は、国際貿易ルートである南シナ海全域に軍事力を投射することを目的とした軍事基地やその他の施設を支援するためのものであり、環境への懸念や他国の排他的経済水域(EEZ)内での活動であるという批判を無視している。中国政府は2025年10月にこの計画を開始し、少なくとも最初の3か月間は1隻の浚渫船しか信号を送信しなかったが、衛星画像には多数の浚渫船が現場に映っていた。
  • 【連載】2026 世界はどう動く(6) フィリピン 南シナ海問題に多国間協力
    フィリピン政府は、中国の南シナ海における行動を「違法かつ危険な行為」と非難し、国連海洋法条約(UNCLOS)違反であると訴えている。軍事力で劣るフィリピンにとって、国際法と多国間外交は不可欠な防衛手段とされている。米国議会は、南シナ海およびインド太平洋地域での緊張が高まる中、フィリピンへの新たな安全保障支援として25億ドルを承認している。
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